828の自治体・警察と協定

 さらには800を超える自治体・警察などと協定を締結し、「地域の見守り・防犯協力活動」も実施している。ヤクルトレディの訪問で高齢者の体調や火の元に問題点が見つかったり、振り込め詐欺など事件の予兆が確認されたりした場合は、直ちに自治体・消防・警察に連絡するという活動だ。

 「協定の数は、2007年度の125件から、2017年度には828件に達した。実際に、高齢者が不審な電話を受けたことをヤクルトレディが知って警察に連絡し、振り込め詐欺を未然に防いだ事例がある。訪問時に倒れている高齢者を発見したり、出火を迅速に連絡したりするなど、見守りの成果が出ている」と山田氏は指摘する。

 続けて山田氏は、「日頃からお客様と接するヤクルトレディの中にお客様を気遣う意識づけがされていることで、そうした事態に気が付きやすくなっている」と話す。

 これらは単なる社会貢献ではなく、事業活動と結び付いて展開しているため、ESG投資家からの理解にもつながるという。

 社員が小学校などに出向き、おなかの健康や食生活の大切さについて楽しく学んでもらう「出前授業」や、高齢者向けの「健康教室」も実施している。こうした多彩な活動によってヤクルトブランドをさらに浸透させ、ファンを増やすことで本業の成長にもつなげている。

環境素材への取り組みも推進

 昨今、話題になっているプラスチック問題にも積極的に取り組んでいる。同社では以前から商品の容器の軽量化を図り、プラスチック使用の削減に取り組んできた。また、一部の飲料ではバイオマス素材を採用するなど環境配慮に力を入れている。

 2019年1月には「プラスチック資源循環アクション宣言」を策定した。バイオマスなどの生分解性の素材やリサイクル素材などを研究し、2025年までに資源循環しやすい素材の基礎技術を確立し、2030年に向けて実用化していく予定だ。

 サプライチェーン全体での取り組みの強化にも乗り出した。2018年3月にはグループのCSR調達方針を策定。サプライヤーに対して環境や人権、労働への配慮を求めている。同社の主なサプライヤーは脱脂粉乳や香料、砂糖などのメーカーだ。本年3月、大口のサプライヤーを対象に拡大していくCSR調達に関するアンケートの実施に着手した。

 同社は2018年6月に“MY「SDGs」行動宣言”と名付けたキャンペーンを実施した。従業員一人ひとりがSDGsに貢献する行動を1つずつ宣言するものだ。行動宣言やSDGsのロゴマークの使用などにより、社内やグループでのSDGsへの理解が深まっている。

■ SDGsに対する理解を深める取り組み
“MY「SDGs」行動宣言”では、参加賞として環境にやさしい素材で作ったクリアファイルを配布した(写真左)。海外でもヤクルトのビジネスとSDGsとの関連を説明した資料を制作(写真右)
(図版提供:ヤクルト本社)