SDGsやESGの考え方が登場する以前から、事業のサステナビリティに注目してきた。長年続けてきたCSR活動をSDGsに結びつけるとともに、本業による社会課題解決を推し進める。

 横浜ゴムは創業100周年を迎えた2017年に、CSRスローガン「未来への思いやり」を打ち出し、あらゆるステークホルダーと共存共栄を目指すことを宣言している。2018年から3年間の中期経営計画「GD(グランドデザイン)2020」でも、経営基盤強化に向けた柱の一つとしてCSRを位置づけ、力を入れている。

 CSR本部長代理でCSR企画室長と品質監査室長も務める森智朗氏は、「製品を通して、地球環境のために、人とのつながり、地域社会と共に、コーポレートガバナンスの5つの視点で、CSRスローガンとSDGsの各目標を関連づけて捉えている」と語る。

 製品の視点で同社は、すべての商品を「環境貢献商品」にする取り組みを2000年代初頭から続けている。「既存製品より環境寄与度が高まった製品のみを発売できる」という社内規則を設け、2017年度末にはグループの全商品で環境貢献商品比率100%を達成(一部の受託生産品を除く)。生産現場ではリデュース・リユース・リサイクルを推し進める3R活動に以前から取り組んできた。

 その他、多様な働き方の実現や働きやすい職場環境づくり、地域社会への貢献、コーポレートガバナンスの強化といった取り組みを進めているが、5つの視点の中でもコーポレートガバナンスを第一と捉えているのが同社の考え方の特徴だ。

 「メーカーとして最も重視しているのが安全・品質・コンプライアンス。長い歴史の中で我々は、その考えを脈々と受け継いできた。CSRやSDGs、ESGにかかわる活動も、この基盤があって初めて成り立つものだ」と森氏は強調する。

 2017年には日本品質保証機構(JQA)によるSDGsの監査を受け、事業とSDGsが強固に結びついていることを第三者機関の目を通じて検証、確認した。CSRスローガンとSDGsの結びつきを意識しながら、今後の活動にさらに拍車をかけようとしている。

■ 日本品質保証機構による当社事業活動とSDGsとの結びつき監査結果例
出所:横浜ゴム「CSRレポート2017」
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植樹活動で社員の意識改革

 同社が取り組んだCSR活動の代表例に、植樹活動「YOKOHAMA千年の杜」プロジェクトがある。創業100周年の2017年までに国内外の拠点で50万本の苗木を植樹するというものだ。各拠点に地域の在来種を植樹し、CO2吸収による地球温暖化抑制を目指すとともに、防災・環境保全林の形成、生物多様性の維持、地域社会とのコミュニケーションづくりも目的としている。植樹は国内14拠点・海外20拠点で社員の全員参加型で実施し、目標通り2017年に50万本を達成した。

 ただ単に本数を増やすことが目的なのではない。活動を通じて社員たちが、自社の事業でCO2を排出していることをしっかり認識し、本業のサステナビリティについて考えるきっかけになることが重要。当初、社員の多くは、この活動と本業との結びつきがなかなか見えなかったようだが、SDGsというキーワードのおかげで理解が深まったと森氏は振り返る。

 同プロジェクトは岩手県大槌町でも実施され、東日本大震災の復興支援としての広がりも見せている。大槌町は復興計画として「いのちを守る森の防潮堤」を掲げ、震災がれきを利用した防波堤を建設している。その防波堤の上に木を植えて、市民の憩いの場となるような森づくりを行っているのだ。

 よりダイレクトに本業とつながる環境への取り組みとしては、サプライチェーンを通じた施策が挙げられる。タイヤの原材料となる天然ゴムだ。今後も需要拡大が予測されるこの天然ゴムを持続可能な資源とするため、政府間組織の国際ゴム研究会が提唱するイニシアチブに賛同した。持続可能な発展のための世界経済人会議(WBCSD)の活動にも参画している。