独自の調達方針を策定

 社会的責任の観点から、より積極的な関与を目指して、2018年10月には天然ゴム調達方針を独自に策定した。

 「自然資源の調達ではトレーサビリティーが大きな課題となる。当社はサプライヤーからの調達も含め、さらに完全なものにするため、今後も同業他社はもちろん商社・流通、あるいは他業界やNPO・NGOなどの組織とも協力しつつ、トレーサビリティーの確保に力を入れていく」と森氏は語る。

 同社はバリューチェーンの視点で事業を分析し、その結果を踏まえた上で、SDGs目標達成の具体策を実行している。その取り組みとして、タイ、インドネシアのゴム農園での人権課題や不法伐採、生物多様性に関する調査を行っている。一方、タイに所有する天然ゴム加工会社では、天然ゴムと竹や果樹などを混植する「アグロフォレストリー農法」による農家育成も推進している。CSR企画室の担当課長、旭誠司氏は次のように語る。

 「ゴムノキを植えてから収穫ができるまで5〜8年程度かかる。その間、農家の支援が必要だ。タイで天然ゴムが葉を落とす時期は乾期の数カ月に限定されるため、天然ゴムだけを植えた農園では乾季の時期以外、地面に落ち葉がなく、土壌の保湿性が失われる。そこで多様な植物を植えて一年中、地面が落ち葉に覆われる環境を作っている。そうすることで土壌に養分が行き渡る。同じ敷地でゴムノキ以外の作物も育てられるので農家の収入源が増えるほか、生物多様性にも寄与する」

 同社のCSR方針に沿った持続的な調達への協力を依頼するため、天然ゴムの取引先との交流会「サプライヤーズデー」を開催し、SDGsをテーマとする勉強会なども開いている。

 非タイヤ部門のMB(マルチプルビジネス)事業では、取引先重視の観点からサプライヤーとの連絡会を設け、同社の品質や環境に対する考え方を伝えるとともに、高品質製品を供給する取引先を表彰する取り組みなども行っている。

 こうした様々な活動を通じ、社員の意識は着実に変化しているという。その証として、2016年には社員の発案で、社会貢献基金「YOKOHAMAまごころ基金」が設立された。社員の給料から1口100円を天引きし、被災地支援や社会課題に取り組むNPO、NGOの援助に充てる活動で、2018年には北海道や台湾の地震、西日本豪雨などの被災地支援に資金を拠出している。

 「SDGsは特別なことではなく、日頃の活動とつながっているということを、今後も社員や取引先に対して積極的に伝えていきたい」と森氏は意欲的に語る。