汚泥や汚水をはじめとする有機性廃棄物処理というニッチな分野で高収益を上げるタカヤマ。本業がSDGsに直結するという意識の下、情報の見える化や人づくりに力を入れる。

 汚泥、汚水といった多様な有機性廃棄物の処理とリサイクルを行うタカヤマ。本業が社会貢献に直結しているという意識のもと、「安全」「品質」「利益」に向けた独自活動を多角的に展開している。

 ニッチでありながら社会に必要とされる分野で、同社は高収益を上げ続けている。日経ESG2019年1月号の「未来戦略インタビュー」で、2022年度までに営業利益率30%を達成する計画を表明した齊藤康祐専務は、その背景を次のように語る。

 「会社としては有機性廃棄物処理のエキスパートを目指している。利益重視は言うまでもないが、会社の成長は利益が右肩上がりであればいいというわけではない。当社は以前から仕事の内容を重視し、利益を『次なる良い仕事』のために投資してきた。廃棄物の処理・運搬、施設の清掃、環境整備まで、あらゆる作業に創意工夫を加え、自社で一貫して取り組むことで業務の効率化を実現している。そうした点が高収益と利益率アップにつながっている」

 技術面での優位性も、収益に大きく寄与していることは間違いない。有機性廃棄物は、そもそもが多様で処理が難しいものも多いが、同社は工場(リサイクル処理施設)の設備更新、残渣物減少や汚水浄化の技術、臭気対策の徹底などにより、排出事業者からも高い評価を得ている。

「良い仕事」を実践

 それでは、タカヤマが目指す「良い仕事」とは何なのか。同社は以前から品質管理に力を入れてきた。本社や車両基地、工場において機材整備や清掃を徹底して行い、汚泥処理プラント「エコジョイン北関東」では、基幹設備の焼却炉と脱水機を更新して、多様なニーズへの対応を実現した。品質と環境を重視したこれらの取り組みにより、ISO 14001/9001認証や東京都の産廃エキスパート認定も受けている。

リサイクルの中核を担うタカヤマの中間処理施設「エコジョイン北関東」は、受け入れ体制強化と周辺環境配慮を目的とした施設改善活動を継続的に行っている。右は、脱臭装置を完備した焼却炉(写真提供:タカヤマ)

 品質管理とガバナンスを組み合わせた取り組みとして、2015年からはVM(ビジュアルマネジメント)、すなわち「見える経営」を推進している。本社と車両基地の各部門が目指していることは、具体的な目標数値と進ちょく・成果、さらには課題と改善に向けたアイデア、5S活動の徹底などの情報を壁に貼り出し、社員の目に入りやすくする活動だ。

 「以前は実績の把握や課題の特定に時間がかかっていた。VMの実施で改善のフローを迅速に回せるようになった上、社員も数値目標を目にすることで、自部門の現状を明確に把握できる。VMを展開するなかで蓄積された情報から、今後起こり得るトラブルなどを想定し、対策を行う『未然防止型』の取り組みに向けて、社員一人ひとりの意識も高まってきた」と、齊藤専務は評価する。

作業フロアにも月次報告や力量評価が張り出され、「見える化」が徹底されている
(写真:木村 輝)

 実際に同社を訪れると、本社や車両基地の壁のいたるところに多彩な情報が掲示されており、VMの徹底ぶりに驚かされる。2019年7月から、リサイクルの中核を担うエコジョイン北関東でもVMを開始する。

 なかでもユニークなのが、社長室の壁一面に設置されたVMM(ビジュアルモチベーションマネジメント)のボードだ。ドアの「社長室」表示と並んで「品質管理推進室」の文字が併記されていることからも分かるように、トップ自ら品質管理を推進する姿勢を強調。ボードには、様々な目標や実績を表す数値のほか、社員から報告されたミスやクレーム、アイデアや気付き、社員が他の社員に対して示す感謝カード(サンクスカード)などの件数が表示されている。

左から齊藤康祐専務、齊藤吉信社長。社長室の「VMMスコアボード」には、社員の気づきやアイデア、成長対話などが日々書き込まれる(写真:木村 輝)

 「VMを始めてから毎年、工夫と改善を繰り返してきた。社員の自主性を重んじるVMにするにはどうしたらいいかを考え、ようやく現在の形になった。社員のミスも、お客様からのクレームも減っている。こうした活動を地道に続けることで、会社自体も成長していくと確信している」と、齊藤吉信社長は語る。

 品質とガバナンスを追求してきた同社の道のりは、2017年から新たなステージに入った。従来の施策をSDGsと結び付け、企業経営に取り込むことで、社会的責任を果たしていく姿勢をより明確に打ち出したのだ。斉藤専務は、「SDGsについては当初から、本業がダイレクトにリンクする実感があった。特に6番『水と衛生』、12番『責任ある生産消費』、14番『海洋資源』は、当社が以前から続けてきた事業そのもの。理想的な社会の実現に向け、大企業だけでなく当社規模の企業でも大声で語れる共通言語ができた。SDGsを旗印とすることで、経営側も社員も、仕事への誇り、醸成に向けてのモチベーションが上がる」と期待を込める。