SDGsを道標に2030年に目指す社会像を定めたグループ中期経営計画「Vision2021」をまとめた。CSVにつながる取り組みをグループで共有することを目的に、コンテストを実施している。

 2019年11月12日、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス(以下、MS&AD)は、2018年に引き続いて、2回目となる「サステナビリティコンテスト2019」を開催した。

 コンテストはサステナビリティ(持続可能性)とCSV(社会との共通価値の創造)につながる取り組みをグループ横断で募集するもので、今回は海外も含め309件の応募があった。その中から9組が選ばれ、この日に最終審査が行われた。

 最終審査ではグループ各社の社長をはじめ、社外取締役を含むグループの経営陣約70人が審査員となり、各組の発表を聞いた上で、投票で最優秀賞を選んでいく。各組は5分ずつプレゼンテーションを実施し、それに対する活発な質疑応答が行われた。

 投票の結果、三井住友海上マレーシア現地法人の「先住民向け専用住宅の火災保険提供〜誰ひとり取り残さないサステナビリティ推進」と、あいおいニッセイ同和損保損害サービス業務部の「世界初cmap.dev(シーマップ)〜リアルタイム被害予測ウェブサイトの開設」の2組が同数となり、いずれも最優秀賞に選ばれた。

309件の応募の中から選ばれた上位入賞者9組が集った「サステナビリティコンテスト2019」。前列中央は最優秀賞を受賞した「cmap.dev」と 、マレーシア先住民向け専用住宅の火災保険に取り組んだ2組
(写真提供:MS&AD)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 審査を終えて、審査委員長のMS&ADインシュアランス グループ ホールディングス取締役副社長グループCFOの藤井史朗氏は次のように講評した。

 「どの発表もとてもすばらしく、何よりも取り組みを地道に進めていることに感銘を受けた。各組ともサステナビリティとCSVを自分のこととして考え、自らの活動が世の中に役立っていることを実感している。さらに、現状に安住することなく発展させていこうとしており、こうした姿勢が根付けば我々は世界トップ水準の保険金融グループになることができるだろう」

2030年の社会像を描く

 保険会社の事業の根底には世の中で起きるリスクを分散しようという助け合いの精神がある。その中で保険会社が事業を継続するためには、社会が持続可能であることが必要だ。

 世界の保険普及率を示すS-curveという指標によると、一定の所得水準になると保険の普及率が上がっていく。貧困状態では家族や財産を守るために保険を契約するという考えが生まれず、保険という価値を提供するチャンスも生じない。

 MS&ADは、だからこそ国連が打ち出したSDGs(持続可能な開発目標)に取り組む必要があると考えている。SDGsを道標として2030年に目指す社会像を「レジリエントでサステナブルな社会」として定めたグループ中期経営計画「Vision 2021」を策定し、2018年度から取り組みを始めた。

 社会を取り巻くリスクが多様化、複雑化する中で、MS&ADはリスクを見つけ出し、伝え、経済的な負担を小さくすると共に、事業を通じてリスクの発現の防止と影響を小さくすることに取り組む。これによって社会的課題を解決し、ステークホルダーを通して社会的価値を生み出し、会社の売り上げと利益に貢献する経済価値へとつなげる。これがMS&ADの価値創造ストーリーだ。

 CSVの実現を目指す上では、「新しいリスクへの対処」「事故のないモビリティ社会の形成」「レジリエントなまちづくりの取り組み」「元気で長生きを支える」「気候変動の緩和と適応への貢献」「自然資本の持続可能性向上への取り組み」「誰ひとり取り残さないを支援」という7つのテーマを掲げている。

 しかし、経営陣がいくらSDGsの重要性やCSVを目標に掲げても、社員一人ひとりが言葉の意味や内容を理解し、日々携わっている仕事の中で実感しないと、取り組みは進まず、「レジリエントでサステナブルな社会」の実現は難しい。