現場こそ価値創造の源泉

 2018年に始めたのが「サステナビリティコンテスト」で、グループ横断で行うことによって、グループのシナジーと交流の場にしようという狙いもあった。2018年の1回目は500件以上の応募があり、企画に1件当たり5人が関わったとすると、全体で2500人以上が関係したことになる。社員は国内海外合わせて4万人強であることから、参画率はかなり高く、社員がSDGsやサステナビリティを身近なものとして感じる第一歩になった。

 今回は応募の309件全体が地に足が着いた内容で、社員それぞれが現場で気づいた課題から着想を得て、価値創造ストーリーを描き出している。このプロセスにより、グループ全体で共感が広がり、ビジネスモデルになっていくという好循環が生まれ始めている。

MSIGマレーシアが開始した先住民向け専用住宅の火災保険は、住宅建設の支援団体 EPIC Homesとの連携により実現している。写真はプロジェクト開始の記者発表で
(写真提供:MS&AD)
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 例えば最優秀賞を受賞したマレーシア現地法人の先住民向け専用住宅の火災保険は、社会的企業との連携で、住宅建築費用に保険料が含まれる点に大きな特徴がある。収入が少ない中で、保険料を払い続けることは難しい。そこで企業からの寄付で保険料を含んだ建築費用をまかない、住宅を提供するというスキームを考案した。社員は泊まり込んで家を建てながら、保険の仕組みを説明、理解を求めた。「誰ひとり取り残さない」ことを目指したマイクロインシュアランスの取り組みとして注目を集め、提携や支援の輪が広がろうとしている。

「cmap.dev」は自然災害発生時、気象観測データをリアルタイムで分析し、日本各地の被災建物数を予測する。情報はウェブ上で一般に無償公開されている(写真提供:MS&AD)
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 一方、cmap.devは台風や地震などによる被災建物予測棟数を市区町村ごとにリアルタイムに公開するウェブサイトだ。災害が発生すると保険会社は過去の経験に基づいて被害規模を予測し、対応体制を構築していた。しかし、地球温暖化などの影響で、2018年には予測をはるかに超える被害が発生した。そこで大学などとの協働により、cmap.devを開設した。「気候変動の緩和と適応への貢献」の取り組みとして大きな反響を呼び、利用は社内だけでなく、地方自治体などへと広がっている。

 このように、MS&ADグループ社員のSDGsとサステナビリティに対する理解は着実に浸透しており、社員が自分自身の言葉で語り、業務とのつながりを実感するようになっている。MS&ADは、こうした価値創造ストーリーの実践を通じて、「レジリエントでサステナブルな社会」の実現を目指していく考えだ。