気候変動とプラスチック問題という地球規模の課題解決への貢献を目指す。「リサイクル」と「バイオマスプラスチック」を軸に技術開発に挑む。

 三井化学は植物由来のバイオマス原料を使うプラスチック製造の事業化を目指している。「ポリプロピレン」と呼ぶプラスチックでは、世界初の事業化となるという。

2024年の生産開始を目指す

 ポリプロピレンは、ポリエチレンやポリスチレンと並ぶ汎用プラスチックの1つ。三井化学はその国内最大のサプライヤーだ。ポリプロピレンは国内におけるプラスチック生産の約23%を占め、自動車部材をはじめ医療、家電、住宅、食品包装など多様な用途で使用される。その利便性から世界需要は今後も伸びると予測される。

 バイオマス化できれば、輸入資源である石油から国内でも栽培できる植物に原料を切り替えられる。加えて石油から作る場合と比べて、製造時のCO2排出量を4分の1から5分の1にまで抑えられ、気候変動対策としても大きく貢献できる。

 他のプラスチックとは異なり、ポリプロピレンはバイオマスを原料とする技術開発の難易度が高く、工業化技術が確立されていなかった。同社はこの難題に挑戦し、「バイオポリプロピレン」の実用化に取り組む。

 従来のポリプロピレンは石油から得られるナフサを原料としてプロピレンを製造し、そのプロピレンを重合(化学反応により高分子化合物を生成すること)して製造する。

 これに対し同社のバイオポリプロピレンは、非可食植物である「ソルゴー」の糖蜜を微生物で発酵させて中間素材を生成し、脱水してプロピレンを作る。この工程における発酵と脱水に、同社の新技術が使われる。他社もバイオポリプロピレンの製法開発に取り組むが、高コストが課題だった。同社はこれを安価に実現できるところに優位性がある。

 2019年9月にはこの技術の実証事業が、環境省が温室効果ガス削減対策の一環として実施する3カ年の委託事業として採択された。バイオマス資源の生産・利用技術を有する開成(新潟県村上市)と共に、技術と品質、経済性、製造時のCO2削減効果などを検証する。

 その後、同社グループとして事業化を検討し、最短で24年の生産開始を目指す。同社は現在、約250万tに及ぶポリプロピレンの国内生産量のうち約100万tを生産しているが、30年には10万tをバイオポリプロピレンとする目標を掲げた。

 三井化学研究開発本部の伊藤潔・研究開発企画管理部長は、「石油由来でも植物由来でも、同じ品質のポリプロピレンを製造できる」と説明し、加えて「製品への採用が拡大すれば、CO2削減が進む。最終製品メーカーなどの顧客や消費者から、バイオプラスチックへの理解を得ていきたい」と、意欲を見せる。