東京五輪・パラリンピックをきっかけにして、東京が大きく変わろうとしている。大会のレガシーとすべく整備を進めているのが、水素エネルギーを利活用した街だ。

 パナソニックは創業以来、環境への思いを強く持ち続けてきた企業である。2017年に策定した「環境ビジョン2050」ではエネルギー問題にフォーカスし、50年までに「創るエネルギー>使うエネルギー」とする目標を掲げた。すなわち、創エネ製品の製造販売や社内での発電によって「創るエネルギー」を、製品の製造や消費の段階で「使うエネルギー」より多くする。

 「現在、パナソニック全体における両者のエネルギー量の比率は約1:10だが、これを逆転できれば、企業活動をすればするほど地球環境にプラスになることを意味する」と、環境経営推進部環境渉外室室長の下野隆二氏は説明する。

 同社ではこの目標を達成するために、燃料電池、太陽光発電システム、蓄電池の開発、水素の活用などに積極的に取り組んでいる。こうした取り組みを実用化したのが、最先端のエネルギー技術を駆使した街「HARUMI FLAG」(ハルミフラッグ)である。

■ 2020東京五輪・パラリンピックのレガシーとして誕生
2020東京五輪・パラリンピックの選手村跡地を利用し、2023年の街開きを予定している「HARUMI FLAG」(外観完成予想CG))
(画像提供:パナソニック)
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新しいレガシーの創造

 1964年の前回大会では、新幹線や高速道路などのインフラが整備され、大会のレガシー(遺産)として高度成長に大きく貢献した。2020年大会でも東京は大きく変わることが期待されており、そのレガシーとなる街が、東京・晴海地区の約18haを再開発して建設されるHARUMI FLAGだ。20年東京五輪・パラリンピックの際には選手村として使用される区域で、大会後に5632戸の住宅を整備し、23年に街開きが予定されている。

 東京都の再開発事業という枠組みのなか、大手不動産会社など11社で構成する企業グループが中心となり、関係企業や団体とともにオールジャパンの体制で持続可能な街づくりのための方策を探ってきた。

 「なかでも重要視されたのがエネルギーに関する課題だ。東京都の環境基本計画では、東京2020大会を契機として水素利活用を進めるとしており、それを受けてHARUMI FLAGでは水素エネルギーを軸としたエネルギーマネジメントを取り入れることで、最先端の街づくりを目指している」と語るのは、東京オリンピック・パラリンピック推進本部 営業推進部長 兼 選手村プロジェクト担当の永田勝彦氏である。

 水素エネルギーの利活用については、パナソニックのほか、代表会社の東京ガス、JXTGエネルギー、東芝などのエネルギー事業者6社が事業領域ごとに役割分担して、水素インフラの実装を担うこととなった。