パイプラインで街中に水素

 HARUMI FLAGに水素インフラとして整備・設置するのは、水素ステーション、パイプライン、純水素型燃料電池、家庭用燃料電池「エネファーム」の4つで、パナソニックはこのうちの純水素型燃料電池とエネファームの開発を担当する。

 水素インフラの仕組みについて、社内カンパニーでアプライアンス社スマートエネルギーシステム事業部 経営企画部事業推進課長の山本恵司氏は、次のように説明する。

 「開発区域の近くに設置された水素ステーションから道路下のパイプラインを通って水素が各街区に供給される。そして、4つある住宅街区の共用部に設置した純水素型燃料電池が水素を取り込み、そこで生じる電力を共用部の駐車場の照明や街灯などに使用する。4つの純水素型燃料電池のうち2つは電気のほかに熱もつくるコージェネ型で、熱は風呂や足湯などに利用する」

■ HARUMI FLAGにおける水素供給
水素の供給拠点となるステーションが設置され、道路下に埋設されたパイプラインを通じて、5つの街区にある純水素型燃料電池まで水素を届ける
(図版提供:パナソニック)
[クリックすると拡大した画像が開きます]
■ 水素を取り込んで発電する純水素型燃料電池
各街区に設置される予定の純水素型燃料電池。水素を直接取り込んで発電できるのが特徴だ。出力はエネファームの約7倍の5kW(画像提供:パナソニック)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 エネファームが都市ガスから水素を取り出して利用するのに対して、純水素型燃料電池は供給された水素をそのまま使用して発電するという点が大きく異なっている。エネファームの約7倍にあたる5kWの大出力で、発電効率は56%と高い。発売は21年4月を予定しており、現在は実証実験中だ。

 本格的な水素インフラを住宅地で利用するのは、国内初の試みとなる。2020東京五輪・パラリンピック大会中も、公園内に選手向けの休憩施設を設置して内部の電力を燃料電池で賄う予定である。「レガシーで実施する水素の活用を一部先行して大会で実施し、選手に体感してもらうのが目的」(山本氏)である。

 集合住宅の各戸には、最新型のエネファームを設置する。09年に販売を開始したエネファームは今回が6代目で、省スペース、耐久性向上のほか、蓄電池との組み合わせも実現した。蓄電池に余剰電力を充電して電力ピーク時に活用するほか、停電時には蓄電池に充電した電気でエネファームを起動できる。

 HARUMI FLAGは、燃料電池だけに頼るのではない。太陽光発電や蓄電池に加えて、電力会社からの系統電力も引き込む。そうした電力使用を、パナソニックのHEMS(住宅エネルギー管理システム)、MEMS(マンションエネルギー管理システム)が、それぞれ住戸単位、街区単位でコントロールし、系統電力の電気代を抑えるためのピークカットマネジメントなど、効率的な運用を目指している。さらに地区全体をAI(人工知能)を使ったAEMS(エリアエネルギー管理システム)が管理する三層構造となっており、地域全体で高効率なエネルギー利用を可能にする。