街をゆく人々の幸福度を向上

 三菱地所では、4つのテーマのいずれも「まちづくり」が核になると捉え、自社の強みを発揮していく考えだ。同時に、いずれも事業の発展に結びつくものであると吾田氏は強調する。「社会価値の向上と、株主価値の向上を同時に目指すことで、相互にプラスの作用を起こしながら、SDGsやエコシステムの実現に向けて取り組んでいきたい」(吾田氏)。

■社会的価値と株主価値を共に高めていく
長期経営計画2030では経営の数値目標とともに、「サステナブル・デベロップメント・ゴールズ 2030」が発表され、社会価値向上と株主価値向上の2つの戦略を両輪で回すことを宣言している
(図版提供:三菱地所)
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長期経営計画の考えを踏まえた計画の一つ、東京駅前常盤橋プロジェクトのA棟・B棟(画像提供:三菱地所)
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 長期経営計画2030と同時に発表されたまちづくり計画「丸の内NEXTステージ」は、長期経営計画の考えを具現化しようとするプロジェクトの一つだ。大手町・丸の内・有楽町エリアに、30年までに約6000億〜7000億円を投じ、イノベーション創発とデジタル基盤強化を通じて、個人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上と、社会的課題の発見、解決を生みだすまちづくりを推進する。

 例えば、21年にA棟が竣工し、27年度にB棟が竣工予定の大規模複合ビル「東京駅前常盤橋プロジェクト」は、「日本を明るく元気にするまち」を目指し、エコシステムの空間をいかに創造するかを念頭において設計されている。街区完成時7000m2に及ぶ広場は環境負荷低減のための配慮がなされ、親水空間や芝生空間を確保。A棟オフィスビル内は就業者の共用スペースを充実させ、所属先に限らずコミュニケーションが取れる仕掛けをすることで、新しい価値を生みだせる場を作り出す。また災害時に対応できるよう、発電機の配備や帰宅困難者の支援機能も担う予定だ。

 こうした取り組みの結果、「人々の幸福度を上げることに貢献したい」と菊川氏と吾田氏は未来を見据える。まちづくりを通して、QOL向上と社会課題の解決を目指す。