JTは2019年、「グループ環境計画2030」を策定し、30年までに25%、50年までに100%を再エネにする。目標実現に向け、世界の工場や生産農家で温室効果ガス削減の取り組みを進めている。

 70以上の国・地域で事業を展開する日本たばこ産業(JT)。ESGへの社会の関心が高まる中、グループ全体でサステナビリティ推進を核とする経営を行っている。

 2018年にはグループのサステナビリティ戦略を策定した。事業継続に不可欠な要素として、「人権の尊重」「環境負荷の軽減と社会的責任の発揮」「良質なガバナンスと事業規範の実行」という「3つの基盤」を据えた。これらの基盤を土台に、各事業において優先的に取り組む分野を設定している。

 中核のたばこ事業では、「お客様の期待を上回る製品・サービスの提供」「持続可能なサプライチェーンの構築」「人財への投資」「事業を取り巻く規制への適切な対応と不法取引の防止」の4つを注力分野に定めた。サステナビリティマネジメント部の竹中順子次長は、「それぞれの分野で中期取り組み目標を設定し、その実現に向けた活動を進めることで、SDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献したいと考えている」とJTの方針を説明する。

世界の工場で再エネ活用

 持続可能なサプライチェーン構築の一環として、2019年5月には従来の計画を刷新し、「JTグループ環境計画2030」を策定した。「エネルギー・温室効果ガス」「自然資源」「廃棄物」を重要な取り組み領域と設定し、それぞれの領域で目指す姿と、実現に向けた定量的・定性的な中長期目標を掲げている。

■JTグループ環境計画2030
出所:日本たばこ産業
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 先進的な活動を進めているのがエネルギー・温室効果ガスの領域だ。30年までに事業活動で使う電力の25%、50年までに100%を再生可能エネルギー由来とする目標を設定。温室効果ガスは30年までに事業活動由来の排出量を15年比で32%削減すること、購入する原材料・サービス由来の排出量を23%削減する目標を掲げた。

 そのための施策の1つが各国工場での自家発電設備の拡大である。例えば、フィリピンのバタンガス工場では、1万7000枚あまりの太陽光パネルを導入した。自家消費用で東南アジア最大の屋根置き型太陽光発電システムを構築し、年間4000tのCO2排出量を削減した。

 ヨルダンのアンマン工場には屋上に太陽熱発熱設備を設置し、蒸気を葉たばこの加熱や工場施設内の空調に活用している。この設備は工場が年間に使用する蒸気の85%を生み出し、年間のCO2排出量を12%、エネルギーコストを18%削減する。太陽熱を冷暖房エネルギーに使用するたばこ工場は世界で初めてのことで、ヨルダン環境省と世界銀行から「環境スチュワードシッ プ賞」を受賞した。