葉たばこの乾燥効率を向上

 一方、原材料・サービス由来の温室ガス排出量がバリューチェーン全体の9割を占めることから、サプライヤーと連携した取り組みも積極的に進めている。

 主原料である葉たばこ調達に関係する排出量削減には、特に力を注いでいる。たばこの味や香りを生み出すために葉たばこ農家で行う乾燥工程での消費エネルギーを減らし、CO2排出を抑制しようと、乾燥効率の向上を試みている。

 葉たばこの乾燥方法には、燃料を燃やして火力で乾燥する方法と、小屋などに吊して自然乾燥する方法がある。

 火力乾燥の成果の1つが、ザンビアの葉たばこ農家と協働で開発した「マトペ乾燥室」だ。木材や泥、ワラなど現地で手に入る素材をうまく活用し、密閉性を高めた乾燥室を利用するのが特徴で、熱効率が高く、燃料に使う木材の消費量を75%、CO2排出量を12%削減できる。18年にはザンビアの葉たばこ農家1300カ所以上にこのマトペ乾燥室を設置した。

 一方の自然乾燥ではマラウィで「ライブ・バーン(Live Barns)」という新たな手法を導入した。雨が少ない気候を生かし、木を等間隔で植え育て、そのまま葉たばこを吊す際の柱として使うもの。木の伐採を減らし、小屋をつくる手間を省くことで、自然環境を守り、生産効率向上につなげている。

■JTグループの取り組み例
フィリピンのバタンガス工場には自家消費用で東南アジア最大の屋根置き型太陽光発電システムを構築した。年間4000tのCO2排出量を削減する
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マラウィでは葉たばこの乾燥に、等間隔で植え育てた木を使う「ライブ・バーン」という新手法を導入し、農家の自然環境改善と生産効率向上につなげた
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(写真提供:日本たばこ産業)

 JTは葉たばこの調達のために国内外で4万6500戸の農家と直接契約を結んでいる。これらの農家には(国内外の)たばこ事業に所属する約500人の耕作指導員が継続的に訪問し、耕作や労働に関する指導や助言を行っている。

 サステナビリティマネジメント部環境チームの松原康博次長は、「契約農家と密接なつながりを持つ強みを生かし、地域の気候や特性に応じた効率の高い乾燥手法を講じることができた」と胸を張る。

CDP気候変動の「Aリスト」に

 こうした一連の活動により、JTが打ち出す温室効果ガス削減の目標は2019年2月、科学に基づく温室効果ガス削減目標(SBT)の設定を求める「SBTイニシアチブ(SBTi)」の認証を取得した。

 20年1月には、CDP気候変動で、最高評価の「Aリスト」に選ばれた。CDPの冊子やウェブサイトではベストプラクティス企業として紹介されている。

 JTは自然資源や廃棄物についても、環境計画に盛り込んだ目標を達成すべく取り組みを進めている。

 自然資源の領域では森林資源の保全のために葉たばこの産地であるマラウィ、ザンビア、タンザニアで植林を推進する。一方の廃棄物に関しては、市場の成長が続く加熱式たばこのリサイクルに着手した。

 19年5月から東京都内のたばこ販売店約300カ所で、JTが販売する「Ploom(プルーム)」のバッテリーやたばこカプセル、カートリッジの回収を開始した。その後は日本たばこ協会や同業他社に働きかけ、20年2月から回収対象品および実施エリアを拡充し、今後、全国に拡大する予定だ。

 「環境計画は継続的に見直しを図り、事業と社会のサステナビリティ実現に近づけたい」と松原次長は話す。世界の拠点で浸透しつつあるサステナビリティ経営を今後も進化させていく方針だ。