新型コロナウイルスの感染拡大を受け、独自の人材育成プログラムをベースにリモートワークを拡充した。来る不況を乗り越え、家で過ごす時間を有意義なものとするストレージ事業の拡大を狙う。

 「ハローストレージ」ブランドでレンタル収納用スペース(トランクルーム)市場トップシェアを握るエリアリンク。基幹のトランクルーム事業(ストレージ事業)のほかレンタルオフィス、貸し会議室、不動産売買などの事業を次々と手掛け成長を遂げてきた。

 ESG経営では特にSを重視する。「働く時間は短いのに高収入」な企業を目指し、効率よく自律的に業務を遂行できる少数精鋭の社員育成に力を注いでいる。

 そのために重視してきたのが、場所にとらわれない働き方を実現できる仕事環境の構築だ。

独自の仕事術が効果を発揮

 例えば、各部署の責任者や営業職には固定デスクを与えない。情報をデータ化し、パソコン1台でどこでも仕事ができるよう効率化している。オフィス内には責任者向けの「ラウンジ」、社員向けの「カフェ」を設置。リフレッシュしながら頭を使う仕事に集中し、柔軟な発想を生み出すことをサポートしている。

 人材育成の核として、独自のプログラム「エリアリンクマスター制度」も活用する。エリアリンクマスターは、林尚道社長が実践してきた仕事術を体系化したものだ。毎日の行動予定を記入し業務管理を行う「豆ノート」、課題と進捗をチェックする「懸案事項処理表」、商談を形として残し約束を実行させる「打ち合わせ記録報告書」などのツールを使いながら、仕事効率を向上しつつ業務の習熟度を高める。

 独自の制度や仕組みで積極的に働き方改革に取り組んできたエリアリンクだが、2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染拡大の局面では、一層、仕事環境の整備を進めることとなった。多くの企業同様、急きょ、在宅勤務などリモートワークを拡充する必要が生じたためだ。

 20年2月27日、安倍晋三首相が全国の小中高校に対し臨時休校を要請したのを受け、管理本部では全社員を対象に調査を実施し、影響を受ける社員を特定した。小学生の子供がいる6人の社員については、翌28日に林社長の同意を取った上で在宅勤務を許可する通達を出した。

 同社はフレックスタイム制度を導入していないため、本来は8時30分~17時30分の勤務が必要となる。だが、臨時休校が始まった3月2日以降は特別措置として早く来て早く帰る、遅く来て遅く帰るといった時差出勤を許可した。

 4月7日、東京に緊急事態宣言が発令されて以降は在宅勤務の対象を全社員に拡大する。取締役会にはウェブ会議サービス「Meet」を利用、デスクトップパソコンを利用する50人ほどの社員には新たにノートパソコンを調達した。

 執行役員管理本部長の佐々木亘氏は、「リモートワークに必要な制度や設備は十分ではなかったが、走りながら考え、柔軟に対応することを心がけた」と振り返る。

 紙で届く書類への対応など、どうしても出社が必要な業務については、社員が入れ替わりで出勤し担当した。結果的に出勤する社員を従来の2割程度まで減らすことができた。

 「エリアリンクマスターを通じ、全社員がどこでも業務を遂行できる仕事術を身につけていたことがリモートワーク推進に役立った」と佐々木氏。管理本部長補佐の大滝保晃氏は、「もともと全社員170人のうち約2割が在宅勤務を前提とするパートタイマー。外回り中心の営業マンも多く、リモートワークに『慣れ』と『理解』があったことも比較的スムーズに移行できた要因」と説明する。