「経験のない不況」に備える

 新型コロナウイルスの感染拡大は、まず働く環境に大きな変化をもたらした。今後は景気悪化が予想され、ビジネスそのものに影響が及ぶことになるだろう。「これまで経験したことのないレベルの不況に直面するかもしれない。全社一丸となって対策を実施し、乗り越えていく」と佐々木氏は気を引き締める。

 対策の一つに経費削減をあげる。以前からスリム化に努めていたが、「もう一段の経費削減が必要、100円単位の収益改善に取り組む」(佐々木氏)。

 売上高の約6割を占める主力のストレージ事業については、経済の先行きが不透明な現在は新規出店を中止している。足元を固めるため、既存の物件や仕掛かり中の物件の空室を着実に埋めることに力を注ぐ。

 レンタル収納用スペースのうち、大容量で利便性に優れた「屋外コンテナ型」については、丹念に現場を回り、看板の付け替えなどで視認性を高める作業を行っている。土地付きの「屋内型」は仕入れる物件を厳選し、エレベーターやドアロックの設置で不動産としての付加価値を高める。

大容量収納も可能で利便性に優れる屋外型トランクルーム、視認性の高い看板の設置法を工夫した
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土地付きの屋内型はトランクルーム専用の建築、ドアロックやエレベーターを設置し不動産としての付加価値を高めることに注力する
(写真提供:エリアリンク)

 こうした体質改善によって苦境を乗り越えた後には、ストレージの潜在的な需要を掘り起こすために一気に攻勢をかける考えだ。

 エリアリンクは従来、人口密度と平均年収が高いところにストレージの需要が大きいと見て、東京を中心とする南関東に多く出店してきた。だが、この1、2年は長野県佐久市など人口5万~10万人ほどの地方都市で出店を試み、確実な需要があることを確認したという。土地代が高く、競合企業との競争が激しい都市部よりも収益に貢献する可能性もあることから、今後は地方出店にも目を向ける方針だ。

家にいる時間を心地良く

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うライフスタイルの変化によって、ストレージ事業の新たな可能性も見いだしている。佐々木氏は、「多くの人が家で過ごす時間の大切さを再認識した。その時間をより心地良く有意義にするため、置くものを減らし、スペースをつくろうとする需要は増える。ストレージのビジネスチャンスは拡大するはず」と話す。

 19年末にエリアリンクがプロトタイプを発表した、趣味を楽しむための「ホビーストレージ」にも期待をかける。ホビーストレージは1階が駐車場、2階が部屋というつくりで、プラモデルを製作したり、楽器を弾いたりと趣味に没頭できる“別室”として利用できる。「人口減少で空き地が増えればホビーストレージを出店できる場所も多くなる。潜在的なニーズは大きく、今後も挑戦し続けたい」と佐々木氏は意気込む。

 国内のストレージビジネスの市場規模は約700億円。2兆円を超えるといわれる先進国・米国の市場規模からみると伸びしろは極めて大きい。エリアリンクは“アフターコロナ”の景気落ち込みを乗り越えた後に到来するであろう大きなチャンスをつかむべく、ビジネスモデルを進化させていく考えだ。