水の技術で健康増進を目指す

 ヘルスケアに貢献するといっても、社内に医師がいるわけではない。では、何が役に立つのかと検討した結果、一番に力になれそうなのは、やはり「水」だった。

 テクノシステムの淡水化システムには、逆浸透膜で水をろ過する前にセラミックフィルターによる前処理を行うという点に特長があり、この技術は特許を取得している。前処理の段階でバクテリアや金属をほとんど取り除いておいて、さらに逆浸透膜によって微小のバクテリアなどを除去する。この方法だと、逆浸透膜の傷みが少ないために交換の頻度が減り、さらにセラミックフィルターは洗浄が容易なため、メンテナンスのコストを大幅に低下できるメリットがある。

 「こうしてできた不純物を含まない純水に、ヘルスケアの観点から、後処理として体によいものを添加することを考えました」(久宗氏)

 例えば、イオン交換樹脂を利用してミネラルを入れたり、サンゴ礁の粉末を溶かし込むということも考えられたが、最終的にテクノシステムが開発したのは、「電荷サイエンスイ」という高濃度酸素水素水だった。

■ 「水」事業の新たな柱となる電荷サイエンスイ
高濃度酸素水素水の「電荷サイエンスイ」は現在、順次発送しており、2020年9月までには全国対応が可能になる見通しだ(写真提供:テクノシステム)

 水を電気分解することによって水素と酸素を発生させ、それを最適な調合比率で水タンクに入れて48時間かき混ぜる。その結果、ナノレベルで電荷を帯びた水素が、日持ちする形で残るという。

 「現在、どのような健康効果があるのか、医師とともに治験をしているところです。きちんと定量化したデータが出たら、機能性食品の認定を得る準備もしています。これを、スーパーヘルスケアシティにおいて、西洋医学と東洋医学などを融合した統合医療の現場で使用してもらおうと考えています」(久宗氏)

スーパーヘルスケアシティ実現へ

 大郷町に建設するスーパーヘルスケアシティは、大きく3つのフェーズで開発を進めていくという。フェーズ1では、「電荷サイエンスイ」の提供と滞在型の介護施設の建設などを進める。フェーズ2は、医療ツーリズムを展開する。現地は仙台空港が近く、海外から日本の医療を受けにくるインバウンド客の誘致にメリットがある。フェーズ3では、遠隔医療のネットワークを近隣の市区町村、さらには東北6県と新潟県全体に横展開する。患者が身につけているウェアラブルデバイスやスマホを通じて、その生体情報を医師のもとに送信することで、スムーズな遠隔診療ができる仕組みづくりを目指すという。

■ スーパーヘルスケアシティ大郷(仮称)プロジェクト構想
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 「これまでも、テクノシステムは単に技術を持っているメーカーというだけでなく、優れた技術の組み合わせにより、誰も見たことのない事業モデルを構築し、スピード感をもって収益化してきました。一方で、テクノロジーは様々な分野で進化しており、すべてを当社内で完結することは不可能です。今後は、AIやイノベーション技術を持っている組織や個人とパートナーシップを組んで、新しい街づくりを進めていきたい」(久宗氏)

 国内だけでなく海外への展開も視野に入れているという。今後の飛躍に期待したい。