相馬 隆宏

キリングループは働き方改革の一環として副業を認め、セミナーの参加も補助する。コロナ禍で不確実性が高まる中、人材の多様性を高めて企業価値の向上を狙う。

 キリンホールディングス(キリンHD)は2020年7月から、新たな働き方改革を開始した。国内のグループ社員約2万人が、「『働きがい』改革 KIRIN Work Style 3.0」と呼ぶ活動を進める。物流・製造部門などを除いて原則在宅勤務とし、ペーパーレスを進めるとともに社内会議や研修はオンラインを活用する。IT(情報技術)環境の整備に約5億円を投じる。

 コロナ禍による経営環境の変化を成長機会と捉え、社員一人ひとりの生産性や創造性を高めるのが狙いだ。重要となるのは社員が「働きがい」を実感できること。「自分は何のために働くのか」、仕事の意義や目的に立ち返り、継続的に見直しながら主体的に取り組めるようにする。

■ キリンホールディングスが「働きがい」改革で取り組む主な施策
出所:キリンホールディングスの資料を基に作成

隔週で社員の健康をケア

 改革の一環として副業も認めた。社外の業務に従事することで専門性や新たな視点・経験を獲得し、本業に生かす。多様な考え方を吸収し、知見を広められるようセミナーへの参加費用も補助する。

 人事総務部人事担当の竹内美耶氏は、「コロナで不確実な世の中がより際立ってきた。多様な観点を持って変化に対応し、新しく変革を起こせる人材が非常に重要だ」と話す。

 在宅勤務中心の働き方への移行で課題となるのが社員のメンタルヘルスだ。対面でのコミュニケーションが減り、孤立を感じやすくなれば、うつ病などになるリスクが高まる。

 キリンHDは20年4月以降、2週間に1回程度、社内サイトで健康関連情報を配信しており、心のケアに関する助言もしている。例えば、定期的に同僚と電話で話すことを推奨する。メールでは目的を伝えるだけになりがちなので、電話では雑談を織り交ぜる工夫も取り入れている。

 オフィスで顔を会わせる機会が減ると、誰が何をしているかが見えにくくなる。今後、目標管理の仕方や評価の期間を見直すという。

 コロナ禍で在宅勤務やテレワークが急速に普及し、働き方が大きく変わりつつある。富士通など職務内容を細かく定義する「ジョブ型」の人事制度を活用する動きもある。コロナ後の「新常態」でどう成長していくか、働き方の最適解を求めて企業の模索が続きそうだ。