「10対1」の逆転に挑む

 CO2を切り口にするならば、どの企業においても、究極の目標設定は「排出ゼロ」になる。では、エネルギーを切り口にした場合に、目標をどう設定するのか。同社の環境ビジョン2050で打ち出したのが、「使うエネルギー<創るエネルギー」という目標である。

■ パナソニック環境ビジョン2050
(出所:パナソニック)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 使うエネルギーとは、パナソニックの事業活動で使うエネルギーと、顧客が製品を使う際に必要となるエネルギーの合計だ。

 一方、創るエネルギーとは、パナソニックの製品が創出したり社会での利用を可能にしたりするクリーンなエネルギーの合計である。具体的には、太陽光発電、燃料電池などが発電するエネルギーや、蓄電池や車載用電池などが活用可能にするエネルギーの合計である。

 環境ビジョン2050を策定した2017年当時は、使うエネルギーが10に対して、創るエネルギーは1に過ぎなかった。今後は、製品の省エネ性能の向上、モノづくりプロセスの革新などによって、使うエネルギーを削減する。

 それと共に、創・蓄エネルギー事業の拡大や、クリーンエネルギーの活用機会の拡大を通して、創るエネルギーを増やしていく。こうして2050年までに、「創るエネルギー」の量を「使うエネルギー」の量より大きくする。

■ 環境ビジョン達成のイメージ
(出所:パナソニック)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

再エネ電力を積極活用

 環境ビジョン2050では、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立を掲げている。これは、工場にも大きな変化をもたらしている。2019年1月に、アルカリ電池の生産工場であるベルギーのパナソニック エナジー ベルギー(PECBE)が、再生可能エネルギーをフル活用した「CO2ゼロ工場」を実現した。

■ 「CO2ゼロ」を実現したパナソニック エナジー ベルギーの工場
アルカリ電池(右)の生産工場で「CO2ゼロ」を実現した。工場敷地内に風力発電システムを設置し、再エネ由来の電力を活用している(左)
(写真提供:パナソニック)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 CO2ゼロの取り組みは、次の手順で進めた。

  1. 使うエネルギーを減らす(照明のLED化など)
  2. クリーンなエネルギーを創る(風力発電の導入)
  3. 使う電力を再生可能エネルギー由来のものに転換する
  4. その他、化石エネルギーの利用をクレジットで相殺する

 まず、照明設備をLEDに切り替えるなど、省エネを進めてCO2を減らす取り組みを実施した。そして、クリーンなエネルギーを創るために、敷地内に2MWの巨大な風力発電システムを導入した。

 PECBEがあるベルギーの拠点は風が強く曇りの日が多いため、太陽光ではなく風力発電が効果的と考えた。これで、工場の使用電力の約30%を賄っている。環境経営推進部グローバル環境推進課の戸田正吾氏は、「工場は電力使用量が多いため、拠点に設置した再エネ発電設備でここまでエネルギーを賄えるのはまれ」と話す。

 こうした取り組みを行ったうえで、購入電力を再生可能エネルギー由来のものに転換した。

 さらに、ガスボイラーなど電力以外のエネルギーを使用する設備に関しても、省エネ化を進めたうえでクレジットを購入。こうして「CO2ゼロ」を達成した。