日本国内でもCO2ゼロ工場

 同じ2019年1月には、日本国内でもCO2ゼロ工場が誕生した。グループの家電リサイクル工場、パナソニックエコテクノロジーセンター(PETEC)である。

■ 「CO2ゼロ」を実現したパナソニック エコテクノロジーセンター
グループの家電リサイクル工場(左)。照明のLED化、太陽光発電システムの増強、再エネ由来電力への切り替えなどにより、 「CO2ゼロ」を実現したリサイクル工程(右)
(写真提供:パナソニック)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 工場内の照明をLEDに切り替えることで工場からのCO2排出量を約2%削減した。50kWの太陽光発電システムを導入することで、さらに約1%を削減。購入電力は、再生エネ由来の電力を提供する関西電力の「水力ECOプラン」を活用し、非化石証書やクレジットも活用することで、「CO2ゼロ」を実現した。

 工場施設内に設置した太陽光発電システムは、2019年度中に624kWまで増設する予定である。こうすることで、CO2排出量の削減は現在の約1%から、約15%になるという。

 課題は、欧州とは異なり、日本の再生可能エネルギーは調達できる量がまだ少ないことにある。

 PETECでは、地中熱の利用やCO2の回収・吸収といった新たな技術の実証や導入も進めている。今後、こうした最新の再エネや省エネの技術を活用することによって、使うエネルギ—量を低減していく。効果を実証できた施策は、他の工場へ展開していく考えである。

 再エネ由来の電力への切り替えには、まだ選択肢が多くないのが現状だ。今回、そのような中でもCO2ゼロ工場の実現に踏み切ったのには、長期的な取り組みを見据えた戦略がある。

技術やノウハウをビジネスに

 CO2削減に対する社会の要望は高まっており、CO2ゼロ工場の実現は、社会や企業に対するアピール力が強い。大規模な電力需要家である同社が積極的に再エネを活用することで、再エネの普及と調達の選択肢拡大を促す効果を期待している。

 また、「CO2ゼロ工場」を実現するに当たって得られた技術やノウハウは今後、工場の建設や運営を支援するビジネスとして、他企業へ提供していく。PECBEでは、工場を訪れた顧客に向けた、プロモーションビデオの制作を進める予定である。

 当初は予想していなかった、思わぬ効果もあった。グループ拠点のCO2削減の取り組みに拍車がかかったことだ。

 戸田氏は、「あの工場ができるのならうちの工場もできるのではないかと考え、実現に興味を持つ工場が増えた」と語る。今後、中国をはじめとするアジアなど、非化石証書やクレジットの制度化が十分に進んでいない地域での調査も進める。今回実現したCO2ゼロ工場を先行モデルとして、グローバルにCO2ゼロ工場を拡大していく予定である。

 グローバルに拠点を構える同社がCO2ゼロ工場の取り組みを拡大することは、再エネの利用促進をグローバルに広げることにつながる。同社には、これまで培ってきた環境技術やノウハウがある。これらを組み合わせ、ビジネスを世界に拡大していく考えだ。

 2050年にこの取り組みがパナソニックのすべての生産拠点に拡大すれば、世界で約240のCO2ゼロ工場が稼働することになる。「事業を通じて世界中の人々と社会に貢献する」という経営理念を体現する取り組みとして、強化を図る。