梱包に使用した木製パレットから学童用の椅子を作成、周辺地域の学校に寄贈
(写真提供:伊藤忠商事)

 このほか、パイナップルやバナナの船積みに使用した木製パレットで地域の木工業者に学童用の椅子を製作してもらい、学校に寄贈している。学校支援に加え雇用創出に寄与する取り組みだ。住宅金融公庫と共同で社宅を建設し、社員に低利の住宅ローンを提供するプログラムや、Dole幹部と社員が自ら家を建設する取り組み、高齢者・障害者に車椅子を配布するプロジェクトも実施する。

 こうした多彩な取り組みは、相互信頼の醸成により地域が事業を守るという「Social Fence」の実現にもつながっている。ミンダナオ島は反政府武装勢力が活動する地域。それゆえに地域に受け入れられ、地域と共に事業を進めていくことが重要だという考えが根本にある。

住宅金融公庫と共同で社宅を建築し、特別低金利ローンでの割り当てを行っている
(写真提供:伊藤忠商事)

 「Dole自体が『Social Fence』の考え方を重視していました。その姿勢が当社の思いと通じ合い、取り組みに結実しています。実際、現地はDole Philippinesの事業と共に成長し、Doleで3世代働いている家族もいます。Doleを守ることが自分たちの生活を守ることでもあり、それが『Social Fence』となって、サステナブルな経営につながっています」と二井野氏は証言する。

 Doleの貢献は数字の面でも実証され、南コタバト州は全国81州中で経済、社会運営状況(ガバナンス)、社会インフラに関する競争力で2位の評価をフィリピンの機関から得ているという。

バイオガス発電事業にも着手

 2018年末、伊藤忠商事は、Dole Philippinesの事業活動で生じるパイナップル残渣を活用し、バイオガス発電事業に取り組むと発表した。

 工場が立地するミンダナオ島スラーラ地域でパイナップル残さをフィリピン大手企業グループ傘下のバイオガスベンチャーに提供する。同社が残渣を原料として製造した電力をDole Philippinesが16年間にわたって買い取る長期エネルギー売買契約を締結した。この取り組みを通じて環境負荷低減とDole Philippinesの電力コスト削減を図っていく。

 スラーラに続き、もう一つの工場が立地する地域にも取り組みを広げる。2021年をめどに両工場で約10万tのCO2排出削減を見込んでいるという。

 「フィリピンで展開するCSVの取り組みは、当社のサステナビリティ推進基本方針のうち、社会との相互信頼づくり、生物多様性および生態系の保護、社会課題の解決などに寄与する活動です。コミュニティとの良好な関係を維持し、今後も事業活動を安定的に継続していきたい」と村山氏は締めくくった。