創立から102年にわたり、水まわりの衛生環境向上を事業の柱としてきた。顧客や株主、従業員、地域社会と協力する「TOTO水環境基金」を通じた支援を継続している。

 1917年の創立から102年を迎えるTOTO。同社は2005年、水に関わる環境活動に継続して取り組む団体を支援する「TOTO水環境基金」を設立した。同社は企業理念の一つとして「水まわりを中心とした、豊かで快適な生活文化の創造」を掲げている。基金は、この思いを共有するパートナーとして、地域の人々と共に水環境にまつわる課題解決に継続的に取り組む団体を選び、支援している。

 2005年から現在までに13回にわたって延べ249団体に合計約3億円を助成した。団体が活動を展開した地域は、国内で40都道府県、海外では14カ国・地域に上る。

 毎年公募によって選ばれる助成団体の取り組みは幅広い。例えば、国内では河川や海岸周辺の環境改善、途上国では井戸やトイレの設置をはじめとする地域の健康や衛生を向上させるプロジェクトなどが挙げられる。TOTO総務本部の宗加奈子・総務部長は基金設立の目的について、「国内外に水環境を巡る多様な課題が数多くあり、TOTOの事業や社員の活動だけで改善しようにも限界がある。国内外の様々な地域で課題解決に取り組む社外の団体の力を借りることで、持続可能な改善活動を広げたいという考えがあった」と話す。

 基金の助成金の金額は、同社のステークホルダーとの協力で決まる。その仕組みはこうだ。顧客が節水型便器などの節水商品を購入すると、従来商品と比べて節水効果が生じる。その効果を独自の方法で金額に換算する。他にも株主優待制度による寄付や、同社グループ社員による植樹や清掃といったボランティア活動への参加人数も助成金額の算出に加味し、TOTOの拠出金も加える。社内外のステークホルダーの環境意識の向上と、その行動によって節水や水環境改善が実現するサイクルを回している(下の図)。

■ TOTO水環境基金の仕組み
ステークホルダーによる環境貢献が広がるほど助成金が増える
(出所:TOTO)
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東京湾の貴重な干潟を清掃

 基金の助成を受けた団体の活動を見ていこう。まずは国内の事例だ。

東京・葛西海浜公園の西なぎさで行われるDEXTE-Kの清掃活動
(写真提供:TOTO)

 都市型災害に対する減災の推進や都市と自然との共生などに取り組む「DEXTE-K(ディクテック)」は、東京・葛西海浜公園の西なぎさを清掃する「西なぎさ発:東京里海エイド」事業を展開している。西なぎさは東京都心では貴重な干潟で、野鳥や水生生物が数多く生息し、生物多様性に富んだ場所だ。2018年、希少生物の住みかとして重要であると認められ、「ラムサール条約湿地」に登録された。

 ところが風や潮の満ち引きによって多数の漂着ゴミが打ち上げられる。DEXTE-Kは、2010年から市民に呼びかけ清掃を始めた。2017年度からは3年にわたり、水環境基金の助成を受けた。

 清掃には周辺の地域の住民の他、TOTOや他の企業、団体が参加し、活動は広がりを見せている。後押しになっているのが、参加者に配られる「感謝の証明書」だ。証明書は地域通貨として近隣の加盟店で利用できるため、清掃活動を終えた後、参加者が加盟店に持っていくと飲食代の割引を受けられる。環境改善だけでなく、街の活性化や経済効果も生む仕組みだ。水環境基金の助成金は、活動の労務費に加え、証明書の作成などにも使われている。

 2017年度は、月に1回の清掃活動に延べ380人が参加した。その約4分の1が、ボランティア参加したTOTOグループの社員だったという。「環境活動に協力するだけでなく、地域とのコミュニケーションの場として発展することも期待している」と、宗総務部長は話す。