東京都心に多数の大型再開発ビルを所有し、環境に配慮した街づくりを行う森ビル。非上場ではあるものの、ESGの視点を織り込んで環境認証の取り組みを進めている。

 森ビルは、東京都港区などの都心部で大規模再開発による街づくりを展開している。コンセプトは、高層ビルを中心として多彩な都市機能を垂直方向に集約する“Vertical Garden City”(立体緑園都市)だ。

 「当社では、職・住・遊などが近接したコンパクトな都市づくりを志向している。細分化された土地を集約し、建物を高層化することで、足元空間に人の賑わいや緑を配置。近年は地下も活用して、立体的に広がる街づくりを進めている」と環境推進室課長の武田正浩氏は語る。同社のミッションは、「環境・緑」「安全・安心」「文化・芸術」。近年重要性が増している「環境・緑」について、開発案件ではエネルギーへの配慮や緑化に力を入れている。

「Vertical Garden City」の概念図 職・住・遊が近接したコンパクトな都市づくり
(出所:森ビル)
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 現在の東京の街には、小規模なビルが所狭しと建ち並び、平面過密な土地利用が散見する。同社の研究によれば、このビルを大規模化し、緑化整備や効率的なエネルギーシステム、様々な環境技術を投入して拠点を集中化することで、都市の環境性能は約40%向上するという。実際に最近開発した街では、東京都の平均的なビルの原単位と比較して30〜35%程度(2016年度実績値)のCO2排出量の削減を実現している。

 人々の交流と憩いの空間を創造するとともに、エネルギー・資源の適切な利用や緑化によって街全体の環境性能を高める。東京の大規模再開発においてトップランナーであることを第三者の客観的な視点から裏付ける方法として着目したのが、環境認証制度だ。建物・不動産を対象とした環境認証には、総合環境認証、エネルギーに関する認証、緑化・生物多様性に関する認証など様々なものがある。開発・所有するビルでこうした多様な認証の取得を積極的に進めている。

 総合環境認証では、グローバル・スタンダードといわれる「LEED」があるが、国内では2001年に産官学共同プロジェクトで作られた建築環境総合性能評価システム「CASBEE」が知られる。建築物の環境品質と環境負荷の両面をエネルギーや資源利用、生物多様性、屋内環境などの点から評価し、5段階のランク付けをする制度。建築物のスケール、利用スタイル、新築・既存の違いなどにより多数の評価ツールが用意されている。