サプライヤーの供給責任を意識

 「地域との共生」でも配慮を欠かさない。敷地内緑化には地元の在来種を採用し、生物多様性保全活動にも注力した。

 災害発生時は工場を避難場所として地域に開放し、太陽光発電と蓄電システムによる充電機能を提供する。また、防音、排水など周辺環境への配慮も徹底した。これまでは重油などの熱源を使用していたが、新棟はオール電化システムを採用しているので、SOx、NOxといった有害物質の排出も抑制している。

 3つ目の「価値の追求」では、IoTの導入で生産工程やエネルギー消費の見える化を実現。生産工程の見える化は経営層の経営判断とリスク管理だけでなく、現場での改善による生産性向上、品質安定化にもつなげる。エネルギーの見える化では、生産ラインごとの使用電力をリアルタイムに計測・表示する。エネルギー消費低減はもちろん生産革新に向けた効率的利用を後押しするほか、異常値が表示された場合はトラブルの予兆も把握できる。

 「価値の追求は3つのSTEPで考えている。“見える工場”=IoTによる見える化をSTEP1の段階。このあとAIを使った分析でSTEP2“分かる工場”に進み、最終的にはSTEP3としてロボットを活用する“自働化する工場”を目指している」と柏木氏は見据える。

 「公正な経営」では地震の多い地域柄、BCP(事業継続計画)対策を重視した構造設計を行ったほか、セキュリティー管理も徹底した。さらには1フロアを将来の生産変動に備えたスペースとしてまるまる確保している。

 そして5つ目の「個の尊重」は、働き方改革を視野に入れ、従業員が安全・健康的かつ快適に働ける空間を創造している。人と車両の動線を分離した敷地内通路の整備、エリアごとに照明を細かく制御できるシステムの採用、リフレッシュしやすい休憩室の設置などを実施した。2019年4月には近隣(古川工場)に企業内保育所もオープンする。

 「当社にはサプライチェーンの中で、持続的・安定的にモノを供給していく責任がある。その責任を果たすため、地球環境や地域、社会、社員に配慮し、ガバナンスを徹底した持続的に成長する会社でなければならない」と柏木氏。アルプスアルパインでは新たに動き出した古川第2工場新棟がその成長の拠点になると位置づけている。