自社製品で社会課題の解決を

 柴田氏は2012年に上市されたバイオマテックの最初の開発から携わっている。環境に配慮した植物由来の原料の調達では、インドまで出向き、現地のサトウキビ畑の状況を視察した。周辺の状況を調査し、地域で栽培されている環境に影響を与えないことを確認した。

 開発においては、透明蒸着という技術が繊細なものであり、パッケージに求められる耐熱性と耐水性を備えた膜の開発に苦労したという。蒸着技術を研究している部門と密に連携し、試行錯誤を繰り返しながらつくり上げていった。

■ パッケージ開発の進化の歴史
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 バイオマテックを使うことで、若干ながらコストが上がる。2012年の上市当初は、環境配慮という付加価値を実現するためになぜバイオマテックを使わなければならないのかという声も社内から出たという。だが社会課題を自社の製品で解決したいという柴田氏の熱い思いが、事業部内、そして工場へと広がることで、一丸となって開発に突き進むことができた。

「もう一つの大きな課題は、バイオマテックの意義をメーカーや流通業者に対してどう伝えるかです。SDGs(持続可能な開発目標)は社会課題を解決していくための共通言語です。SDGsを通じて、豊かな生活を実現するための製品としてバイオマテックがあることを熱心に訴え続けたのです」と柴田氏は振り返る。

SDGsの社内浸透に向けた動きも

 実はDNPは以前から、社内でSDGsを浸透させる取り組みを進めていた。CSR・環境部の鈴木由香氏はこう語る。

「当社はB to Bの企業なので、自分たちが社会にどのようなインパクトを与えているかが見えづらい業態です。自分たちの製品でCO2の排出を減らせるという実感もなかなか得にくい。そこでCSR・環境部では、SDGsを共通言語としてとらえ、技術展の要素が強い社内展示会にSDGsのコーナーを設けるなどして、社員とのコミュニケーションを図っていったのです」

 例えば2016年の社内展示会では、SDGsが世界の潮流となっていること、自社の技術や製品が社会課題に貢献できることを積極的にアピール。その結果、多くの社員に納得感が生まれ、モチベーションアップやビジネス課題としての意識向上につながったという。

 鈴木氏と共にSDGsの社内への浸透に尽力した同部の福地寿江氏が補足する。

「包装事業部は、CSR・環境部の呼びかけにいち早く反応してくれました。やはり生活に身近な製品を扱っていることで感度が高く、そのぶん納得も早かったのだと思います」

 バイオマテックIB-PET- PBIRを使ったパッケージは、DNP社内で環境配慮の代表的な製品として発展を続けている。今後はバイオマテックの環境貢献度を生活者に知らせるための仕組みづくりも大切だと、柴田氏は語った。