環境と地域活性化をセットで推進
NIK環境がこうした取り組みを手がけるようになった背景には、吉田氏自身の体験と地元に寄せる思いがある。
「倉敷は美観地区など観光の街として知られていますが、一方で水島コンビナートが立地する工業地帯としての顔もあります。私の少年の頃の1970年代は水島の公害が特にひどく、よく授業中に警報のサイレンが鳴り、教室の窓を閉めていました。その後も産廃処理業者として、大量生産・大量消費・大量廃棄を現場で見てきたので、倉敷はこれでいいのか、このままで大丈夫なのかという疑問を常々抱いていたのです」
振り返ると、自らの本業は環境に直結していると気付く。これまでの経験や学びから得たことが、地球環境はもちろん、ひいては地域活性化にもつながると考えた。

倉敷は古くから繊維産業が盛んで、最近では同社の所在地である児島のジーンズも全国的に注目されている。吉田氏は社員に地場産業への意識を高め、盛り上げてもらうための施策として、制服に児島のデニムを採用した。
「身近にある地場産業のデニムを、仕事をしているときにも着ようという考えから始めたのですが、社員には非常に好評です」と吉田氏。環境貢献と地域貢献をセットで推し進め、その先には、SDGsやESGをビジネスとして展開する未来図も描いているという。