天然ガスで“運ぶ”を支える

 いすゞ自動車のCNGトラック販売実績は、小型・中型を合わせて、国内外で累計約2万5000台。そのうち大型の販売台数は二桁台にとどまるという。

 しかし、これまでの実績と長年の知見から、CO2削減だけでない天然ガス車の優位性が明らかになってきた。鹿内氏は、「天然ガスは大気を汚染するPMやNOxも出しにくい。大型エンジンでも安定して燃焼するので、大型商用車にも適用できる。さらに、走行中の音が静かで、『疲れにくい』と言うドライバーもいる。特に食品の輸送など、安心・安全に重点を置く企業の中には、積極的に天然ガス車を選ぶところもある」と言う。

 今後は、大型LNGトラックを投入することにより、天然ガス車の航続距離(フル充填で走れる距離)をさらに延ばす方針である。同時に、より一層の効率化、低CO2化を進め天然ガス車の普及を目指す。

 LNGスタンドを増やすことも課題だが、航続距離が1000km超のLNG車であれば、東京と大阪に加え、東北と九州にそれぞれ数カ所LNGスタンドを設置することで都市間輸送には事足りるだろう。

 今後は原油価格の上昇が予想される。原油と天然ガスとの価格差が大きくなれば、天然ガス車の需要が拡大する可能性がある。その機運を逃さないよう、いすゞ自動車は、今から準備しておくという。

 「日本で天然ガストラックを作っているのは当社だけ。当社が止めたら市場が閉じてしまう。今が頑張りどころだ。当社の理念は、『運ぶ』 を支える。石油が採れない時代が来てもモノを運び続けられるように、燃料の多様性を確保しておくことは責務だと自認している」(鹿内氏)