地域と協力して島の自然を守る

 三菱地所はオフィスビルや商業施設の運営管理だけでなく、運営の民間委託が進む空港事業にも参入している。

 2019年春の事業開始を目指しているのが、沖縄県宮古島市の下地島(しもじしま)空港だ。もともとはパイロットの実地操縦訓練を目的として設置された空港だが、三菱地所は国際線・国内線旅客の取り扱い、並びにプライベート機の受け入れに向けたターミナル整備を県に提案し、現在整備を進めている。

 下地島は美しいサンゴ礁のビーチに囲まれ、希少な渡り鳥のサシバが飛来するなど、豊かな自然に恵まれている。2015年に隣接する伊良部島が全長3540mの伊良部大橋で宮古島と結ばれて以降、開発の波が押し寄せている。「当社としては島の環境をしっかりと守り、地域の方と交流しながら事業を進めていきたいと考え、地元の自治体や団体の協力を得て活動を開始した」と吾田氏は話す。

 同活動は、3つのテーマを軸に進められ、まずは2018年7月4〜6日に、グループ社員約50人が参加し、環境保全活動を実施した。

 1つ目はサンゴのモニタリング。今回はダイビングライセンスを持つ社員が、NPO法人宮古島海の環境ネットワークからモニタリング調査(リーフチェック)に関する講義を受けた。当日はあいにくの雨で、実際に海へ潜っての調査は行えなかったが、今後も同ネットワークと連携して実施を検討していく。

 2つ目はビーチの保全。同ネットワークの指導を受けて、社員が下地島と宮古島のビーチ清掃を実施した。そして3つ目は、サシバが飛来しやすい森づくり。環境省の絶滅危惧種に指定され、地元・宮古島市の市鳥にも指定されているサシバの保護に向け、文字通り豊かな森づくりを推進する活動だ。今回は宮古野鳥の会による、サシバについて学ぶ研修に社員が参加した。今後は森づくりの具体的な活動を検討していく。

■ サンゴに囲まれた島の自然を守る
沖縄県宮古島市にある下地島空港ターミナルの施設整備を進める同社は、地域の豊かな自然環境を守る活動も開始した。サンゴのモニタリング活動、ビーチの保全活動、渡り鳥のサシバの森づくり活動の3つを軸に、今後も活動を続ける(右の写真の撮影:仲地邦博)
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 「サンゴは海水温の上昇による白化現象が危惧されているほか、ビーチでは近年、ゴミの漂着が問題となっている。そして渡り鳥のサシバは、地域の人々に愛される島のシンボル。宮古島市の貴重な観光資源を地元の方々と連携しながら守っていく活動であり、これもまた本業に直結したCSR活動」と吾田氏。菊川氏も、「島の観光価値を維持・向上させる取り組みは、当社の事業に直接つながる。これからも毎年継続していく」と語る。「まちづくりを通じた社会貢献」は、着実に進化しているようだ。