EV普及がさらに加速へ

 バイデン新政権にとって、国内での環境政策の柱となるのが、エコカー戦略と新たなエネルギー政策である。

 電気自動車(EV)は、各国・地域における環境規制の強化やEV普及政策に加え、走行距離を向上させた本格的なモデル投入が進んだことから、ここ数年、急速に販売台数が増加している。特に、中国はEVを中心とした自動車産業育成政策を実施しており、圧倒的な市場拡大が進んでいる。

 また、ここにきて世界では30~40年ごろにガソリン車の販売を禁止し、EVなどへの切り替えを進める動きが広がっている。英国は30年、フランスは40年までに一般のガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止する方針を打ち出した。日本は30年代半ば、中国も35年をめどとし、同様の方針を検討している。

 米国では、20年9月にカリフォルニア州が35年までにガソリン車の販売を禁止する方針を表明した。バイデン新大統領はEV普及や環境規制の再強化に前向きな姿勢を示しており、カリフォルニア州の方針を後押しすることとなる。

 20年9月、テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は「3年後をめどに2万5000ドルのEVを発売する」と発表し、ゼネラル・モーターズは21年1月のCES(世界最大のデジタル技術見本市)で商用車を含む全車種をEVに切り替えると宣言した。

 EVメーカー筆頭のテスラは20年を代表する銘柄となり株価は⼤幅な上昇を⾒せたが、⼤統領選挙投票⽇の20年11⽉3⽇以降、株価はさらに上昇し約2倍(21年2⽉12⽇現在)となった。また、EV宣⾔を⾏ったゼネラル・モーターズの株価は21年に⼊って30%近い(同)急上昇を⾒せている。市場参加者はEVの本格普及と時代の変化に注目しており、バイデン新大統領の政策を前向きに評価していると考えられる。

(※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません)

米テスラのイーロン・マスクCEOはEVの低価格化に意欲を示した
(写真:AP/アフロ)

35年までに電力からの排出を実質ゼロに

 近年、温室効果ガスの排出削減に対する有効手段として、再生可能エネルギーを導入し、脱炭素を目指す動きが世界規模で加速している。

 主要国のエネルギー別発電構成を見ると、欧州各国を中心に再生可能エネルギー構成が大きく、水力を含めるとカナダも大きな構成を占める。環境意識の高まりから欧州各国は、さらに高い目標を掲げ再生可能エネルギーの活用を進めている。一方、米国の構成を見ると、天然ガスと石炭で60%を超えており、再生可能エネルギーの構成は10%程度にとどまっている。

 バイデン新大統領は、2兆ドル規模のクリーンエネルギーを中心とした投資を背景に、35年までに電力セクターで、50年までに社会全体で温室効果ガス排出量を実質ゼロとする方針を示しており、今後は石炭火力などの化石燃料の活用を抑えつつ、太陽光や風力など再生可能エネルギーの活用を進めると考えられる。また、次世代エネルギーとして注目を集める水素の活用も進むとみられ、その戦略が期待される。

 20年11⽉3⽇以降、⽶国太陽電池パネル製造⼤⼿のサンパワーは株価が約2.9倍(21年2⽉12⽇現在)となり、⽔素燃料電池製造で注⽬される⽶プラグ・パワーの株価は同様に約3.7倍と急騰している。これらの企業はクリーンエネルギー関連銘柄としてもともと注目されていたが、バイデン新大統領誕生によって業界に対する財政的な支援が増加するとともに、エネルギー政策の転換が進むとの見方から、一段と評価が高まった。クリーンエネルギーに対する市場参加者の期待は強く、今後も多くの関連銘柄が注目されよう。

(※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。)