秋田県沖など3海域で1.7GWの洋上風力発電事業が動き出す。破格の売電価格で競合を退けた三菱商事に事業の「勝算」はあるのか。

 再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電の大規模開発「第1ラウンド」の事業者が2021年末に決定した。今回公募された「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の3海域、合計発電出力1.7GWの開発を担うのは、全て三菱商事と中部電力子会社のシーテックを中心とするコンソーシアム(以下、三菱商事コンソ)に決まった。

 三菱商事のプロジェクト担当者は、「欧州で10年にわたって積んできた着床式洋上風力の知見をベースに入札提案を練り上げた。公募海域の海象・気象・海底地質条件などのリスク分析と対策を徹底し、設備と海洋工事を詳細に設計した。そうした高度な技術提案と、産業創出や人材育成など地域の発展に貢献する具体的な提案が評価されたとみている」と勝因を分析する。

太陽光発電並みの売電価格

 翻って公表された評価結果を見ると、3件とも三菱商事コンソが価格点で他事業者を圧倒し、採択されたことが分かる(下の表)。1kWh当たりの電力供給価格が秋田県沖で11.99~13.26円、千葉県沖でも16.49円と、太陽光発電並みの低価格を提示した。

■ 洋上風力「第1ラウンド」の評価結果
■ 洋上風力「第1ラウンド」の評価結果
*1 公募占用指針に基づく計算式により編集部算出
*2、*3、*4 いずれも三菱商事エナジーソリューションズ、三菱商事を中心としたコンソーシアム。同コンソーシアムの供給価格と評価点を赤字で示す。供給価格が他の事業者より圧倒的に低く、高い評価点を獲得していることが分かる
(出所:経済産業省の資料を基に日経ESG 編集部作成)
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 事業者選定は、再エネ海域利用法の公募占用指針に基づき、供給価格(120点満点)と事業実現性に関する要素(120点満点)の合計240点満点で評価が行われる。このうち価格点は、最低入札価格を基準(満点)とし、他の事業者については最低価格との比を120点に乗することで算出する。三菱商事コンソの入札価格は他事業者の49~78%だったことから、価格点が60点に満たない事業者もあった。

 例えば「秋田県由利本荘市沖」の評価において、三菱商事コンソの事業実現性得点(82点)は、公募参加事業者6の(91点)よりも9ポイント低いが、価格点で50ポイント以上引き離し、巻き返している。