富田 基史/電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部 主任研究員
堀尾 健太/電力中央研究所 社会経済研究所 主任研究員

欧州連合(EU)が、「タクソノミー」の第一弾を固めた。まずは気候変動対策に貢献する活動を定め、企業に情報開示を求める。

 2021年末、「EUタクソノミー」の骨格が定まった。これは、欧州連合(EU)のサステナブルファイナンス戦略の一環として制定が進められてきた、「環境的に持続可能な経済活動」の基準である。EUタクソノミーの考え方や原則は、20年7月に発効した、EU規則2020/852で示された(同規則はタクソノミー規則と呼ばれる)。

 しかし、個々の経済活動に関する具体的な指標・尺度(スクリーニング基準)は別途定めることになっていた。21年12月29日に発効した委員会委任規則2021/2139はこのスクリーニング基準の第一弾である。

 22年1月以降、EU域内の企業や金融機関は、この基準に基づいて、情報開示が求められる。

EUはタクソノミーの骨格を定めた。写真は2022年2月16日の欧州議会本会議<br><span class="fontSizeS">(写真:AP/アフロ)</span>
EUはタクソノミーの骨格を定めた。写真は2022年2月16日の欧州議会本会議
(写真:AP/アフロ)

気候変動の緩和への貢献

 EUタクソノミーでは、気候変動の緩和など6つの環境目的を定義し、1つ以上の環境目的に貢献することをサステナブルな経済活動の要件とした。21年末に発効した委員会委任規則2021/2139は、エネルギー、運輸、製造業など9つのセクター、計88種類の経済活動を対象に、気候変動の緩和への貢献に関するスクリーニング基準を定めた。

 これらの経済活動は3つに区分される(下表)。

■ 気候変動の緩和に関する主要な経済活動のスクリーニング基準*1
■ 気候変動の緩和に関する主要な経済活動のスクリーニング基準<sup style="fontSizeXS">*1</sup>
*1 委員会委任規則2021/2139に基づく *2 貯水池面積当たりの出力が5W/m2以上、もしくは人工貯水池のない流れ込み式水力はしきい値なし、それ以外はライフサイクル温室効果ガス排出量が1kWh当たり100g未満 *3 EU指令2019/1161が定める「クリーン自動車」の定義と一致する *4 EU規則2019/1242 第3条(12)の定義による *5 セメント、アルミニウム、鉄鋼、カーボンブラック、ソーダアッシュ、有機化合物、硝酸が含まれる *6 NZEB(ニアリー・ゼロ・エネルギー・ビルディング)とは、エネルギー性能がきわめて高い建物で、指令2010/31/EUに基づいてEU加盟国が各自に基準を定める *7 指令2010/31/EUに基づいてEU加盟国が各自に基準を定める
(出所:電力中央研究所報告SE21001)
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