輸送の脱炭素化の切り札であるEVの覇権を巡り、世界で開発競争が激化。次世代技術の本命・全固体電池で、日本は主導権を握れるのか。

 世界の大手自動車メーカーが相次いで、電動車の販売戦略と車載用電池の開発戦略を明らかにしている。

 ドイツのフォルクスワーゲンは2021年4月、30年までに欧州での販売台数の70%以上を電気自動車(EV)にすると発表。主要コンポーネントである電池セル(蓄電池の部材)の生産を加速するため、欧州内に6カ所の工場を建設する。年間生産規模は240GWhに達する。

2030年までのEV搭載電池のテクノロジーロードマップを発表するフォルクスワーゲン グループ テクノロジー担当役員のトーマス・シュマル氏。21年3月15日に開催した同社初の「パワーデー」で発表した
(写真:フォルクスワーゲン)

 トヨタ自動車も5月、30年までにグローバルで電動車を800万台(EVと燃料電池車で200万台)販売するという目標を掲げ、電池の生産能力を現在の6GWhから、30倍の180GWhに拡大すると発表した。

 そもそもの口火を切ったのは米テスラだ。20年9月の「バッテリーデー」で電池のコストを半減させる技術ロードマップとともに、30年までに3000GWh(3TWh)の電池を内製も含めて調達する計画を発表。他の自動車メーカーを本気にさせた。

30億t超のCO2削減も

 世界規模でEV開発競争が激化している背景には、自動車のCO2排出規制の強化がある。既に20カ国がガソリンやディーゼルなどを燃料とする内燃エンジン車の段階的廃止を打ち出している。

 内燃エンジン車を電動車に置き換えた場合のCO2削減効果はどれくらいなのか。国際エネルギー機関(IEA)は、30年の電動車の世界保有台数は、現在計画している政策を組み込んだ公表政策シナリオで1億4000万台、積極的な気候変動対策を講じた持続可能な開発シナリオでは2億4500万台に達すると予想している。後者の場合、電動車によるCO2排出量は2億3000万tで、同数の内燃エンジン車によるCO2排出量が6億7000万tと推定されることから、電動化によって4億4000万tの削減効果があるとみている。さらに50年には、世界の自動車の88%がEVで、18億台に達すると調査会社の米ライスタッド・エナジーは予測しており、電動化を進めることで30億t以上のCO2排出削減になる。

■ 電動化で年間4億t超えるCO2を削減できるシナリオも
世界の電動車の保有台数は、2019年に720万台。30年に、積極的な気候変動対策を講じた持続可能な開発シナリオで2億4500万台となり、CO2排出量は2億3000万tと予測。同数の内燃エンジン車からのCO2排出量は6億7000万tと推計されるため、差し引き4億4000万tのCO2削減効果がある。現在の計画を継続した公表政策シナリオでは1億8500万tの削減
(出所:国際エネルギー機関(IEA)発行「Global EV Outlook 2020」)
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