株主提案が過去最多となり、環境関連の株主提案や株主質問が相次いだ。ウクライナ戦争やエネルギー価格高騰への備えはあるか。株主が迫った。

 株主総会といえばこれまで、「物言う株主」と言われるアクティビストの主戦場だった。しかし2022年は、これまで目立った発言をしてこなかった機関投資家や年金基金、環境NGO(非政府組織)、個人株主などが積極的に声を上げた。

 また22年は、ウクライナ戦争、エネルギー価格の高騰、米国の金利引き上げなど、企業経営に影響を与える大きな変化がある中での株主総会となった。こうした事態にどう対処するのか。株主が経営陣に迫った。

 完全バーチャル株主総会も始まり、株主と新しい形の対話を模索する企業も現れた。22年6月に開催された主な株主総会のESGの動向に注目した。

「環境アクティビズム」隆盛

 22年は、例年より株主提案が多かった。三菱UFJ信託銀行の集計によると、6月総会で株主提案を受けた企業は77社で、過去最多となった。目立ったのは、環境関連の株主提案だ。ターゲットとなっているのは、商社やメガバンク、発電会社である。

■ 6月総会で株主提案があった企業数
■ 6月総会で株主提案があった企業数
注:2022年は6月16日公表分までの2359 社の情報

2022年の6月総会で株主提案を受けた企業は77社。前年と比べて60%増え、過去最多となった
(出所:三菱UFJ 信託銀行)

 22年は三菱商事が、環境NGOのマーケット・フォースなどから株主提案を受けた。温暖化防止の国際的な枠組み「パリ協定」の目標に整合する事業計画を策定・開示するよう定款変更を求めるものだ。

 6月24日の総会でマーケット・フォースら提案者が株主に、「三菱商事が公表する削減計画やリスク管理プロセスが目標に沿っているのか、株主が判断するのに十分でない」と訴え、提案への賛成を呼びかけた。

 三菱商事の中西勝也社長は、「21年10月に公表したカーボンニュートラルに向けたロードマップで中長期の削減目標を定めて実践しており、今後、進捗を開示していく。定款で個別具体的な業務執行を定めるのは妥当ではなく、むしろ経営を制約する」と答え、反対を表明した。

 結果は、株主の議決権行使に委ねられた。採決の結果、株主提案は反対多数で否決された。

■ 三菱商事は環境NGOの株主提案を否決
■ 三菱商事は環境NGOの株主提案を否決
■ 三菱商事は環境NGOの株主提案を否決
三菱商事の株主総会では、中西勝也社長が議長を務めた(左)。環境NGOのマーケット・フォースらが、情報開示の強化などを求めた(右)
(写真:三菱商事(左、2022年5月の記者会見)、中島 正之(右))