還元に使う炭素を水素に置き換え、また回収したCO2を再利用する技術として、JFEスチールが開発に着手したのが「カーボンリサイクル高炉」である。JFEホールディングスが、21年5月の中期経営計画説明会で説明した。

 高炉ガスから回収したCO2を水素と合成し、炭化水素ガスであるメタンを製造する。メタン製造技術は「メタネーション」と呼ばれ、CCU技術の1つだ。

 JFEスチールは合成メタンを還元材として高炉で再利用する計画だ。大量のメタンを酸素とともにカーボンリサイクル高炉に吹き込む。再生可能エネルギーを使って製造した「グリーン水素」は製造時も使用時もCO2を排出しない。このグリーン水素と高炉ガスから回収したCO2でつくるメタンは、カーボンニュートラルな還元材として使えるという。同社はこの技術で、高炉単体で30%のCO2削減が可能と見ている。

 今後、小型高炉での試験を想定しており、27年までに原理の実証を完了させる。その後、大型化の開発を検討する考えだという。

■ CO2を再利用するカーボンリサイクル高炉
■ CO<sub class="fontSizeXS">2</sub>を再利用するカーボンリサイクル高炉
高炉から排出されるCO2を回収し、水素と反応させてメタンを合成。このメタンを鉄鉱石の還元に再利用する
(出所:JFEスチールの資料を参考に作成)

水素のみで還元、競争始まる

 鉄鋼業界が目指すのは、水素100%で鉄鉱石を還元することだ。これならCO2を排出せず、水が発生する。

 国の工程表によれば30年までに実証し、30年代に技術を確立させ、40年代に製鉄所への導入を始める。

 実現に向けた課題もある。100%水素還元で得られる鉄は、赤く溶けた溶銑ではなく、鉄の固まりだ。これを用途に合わせて成形するには、高炉や電炉での溶融や精錬が必要という。またCOURSE50と同様に、大量の水素の加熱が必要になる他、水素の吸熱反応で炉内の温度が低下したとき、原料の粉化や固着が起こりやすい。粉化や固着が起きにくい鉄鉱石もあるが、流通量は全体の約1割と少ない。今後、利用できる原料の幅を広げることが課題となる。また大量の水素を安価に調達できる環境整備も課題だ。

 日本製鉄によれば、CO2排出ゼロの「ゼロカーボン・スチール」の研究開発費は、21年以降に約5000億円規模、実機化の設備投資に約4兆〜5兆円規模になる。国の支援と、民間による投融資の動員も要る。

 水素100%で還元する製鉄技術は欧州勢も開発に着手した。欧州産の鉄鋼原料は粉化しづらい特性があり、欧州鉄鋼のアルセロール・ミタルは年産10万t規模の製鉄設備の建設に1億1000万ユーロを投資。スウェーデンのSSABは、26年以降、水素還元による年産130万tの生産計画を発表した。日本製鉄 プロセス研究所の樋口謙一・製銑研究部長は「我々も追いつくため、開発を加速する」と話す。欧州勢も規模は限定的だが、競争は既に始まっている。