経営者に「未来像」問う

 富士通が6月22日に開催した株主総会。株主による最初の質問が、「コロナが蔓延する社会にあってどう対処するのか」だった。時田隆仁社長は、「富士通が社会に対して何ができるのか、社会での存在意義を考えた。イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能なものにする」と答えた。

 社会に関する株主質問は、消費者と密接な関係にある小売業の株主総会でも目立った。

 「無印良品」を手掛ける良品計画の松﨑曉社長は、商品開発の際に心がけていることを株主から問われ、「社会課題を顧客と共に解決するプラットフォームのような企業になりたい」と答えた。

 大丸松坂屋百貨店やパルコなどを展開するJ.フロント リテイリングは、激変する経営環境に追随するため、現行の中期経営計画を中止し、21年度から新たな中期経営計画の開始を決めた。株主からコロナ後の経営戦略を問われ、好本達也社長は「現行のビジネスモデルに脆弱性がある。次期中計ではコミュニケーションのデジタル化やeコマースを進める」と答え、変革の決意を示した。

■ 株主総会で経営者が語った「アフターコロナ」
<span class="fontBold">富士通 社長 時田 隆仁氏</span><br>「社会に何ができるのか。富士通の存在意義を“パーパス”として定義した。技術革新によって世界を持続可能にする」<br><span class="fontSizeS">(写真:富士通)</span>
富士通 社長 時田 隆仁氏
「社会に何ができるのか。富士通の存在意義を“パーパス”として定義した。技術革新によって世界を持続可能にする」
(写真:富士通)
<span class="fontBold">J.フロント リテイリング 取締役会議長、前社長 山本 良一氏</span><br>「“義”を先にして“利”を後にする者は栄える。危機に直面したときこそ、創業から掲げる原点に立ち返る」<br><span class="fontSizeS">(写真:株主総会のインターネット配信)</span>
J.フロント リテイリング 取締役会議長、前社長 山本 良一氏
「“義”を先にして“利”を後にする者は栄える。危機に直面したときこそ、創業から掲げる原点に立ち返る」
(写真:株主総会のインターネット配信)
<span class="fontBold">日本電産 会長 永守 重信氏</span><br>「コロナの影響はかなり長引くだろう。ウィズコロナの時代に何をすべきかをはっきりさせて仕事をしていく。ピンチをチャンスに変える」
日本電産 会長 永守 重信氏
「コロナの影響はかなり長引くだろう。ウィズコロナの時代に何をすべきかをはっきりさせて仕事をしていく。ピンチをチャンスに変える」

コロナは長期戦、人材が命

 テレワークの活用が進み、働き方や求められる人材像が変わってきている。働き方や雇用に関する株主質問も多く上がった。

 日本電産が6月17日に開催した株主総会では、社会人の再育成や定年人材の活用などが株主から問われた。大学生の株主からも「次の世代に求めるものは何か」という質問がぶつけられた。

 永守重信会長は、「3月から原則テレワークにしているが、生産性は3分の1に落ちた。コロナの影響は長引くだろう。仕事のやり方や評価制度を変えて乗り越える」と答えた。同社は4月、勤続年数などを基にする従来の評価制度を、実績重視の評価制度に変えた。

 トヨタ自動車は、国内での雇用を確保するため、「国内生産台数300万台」という方針を掲げてきた。これを踏まえて株主から、「コロナ禍のなかでこの目標は守れるのか」という質問が投げかけられた。同社の河合満チーフ・ヒューマンリソース・オフィサーは、「世界の工場で日本のノウハウが生きている。品質、コスト、技術を担保するために、この方針は変えない」と答えた。

 ものづくりの根幹は、それを支える「人」に他ならない。経営者は、人材戦略においても「変えるもの」と「変えないもの」の素早い判断が求められている。

■ 「社会」に関する主な株主質問と会社回答
■ 「社会」に関する主な株主質問と会社回答
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