ESGブランド調査2020取材班

約2万人にESGの視点から企業のブランドイメージを聞く「ESGブランド調査」。2000年から継続してきた「環境ブランド調査」の対象範囲を「環境(E)」だけでなく、「社会(S)」や「ガバナンス(G)」まで広げ、「インテグリティ(誠実さ)」の項目を加えた。第1回の調査結果は「トヨタブランド」の強さが際立った。上位企業のESGの取り組みや各テーマの特徴的な結果を連載でお届けする。

 一般の消費者やビジネスパーソン2万人にESGの視点から企業のブランドイメージを聞く「ESGブランド調査」。第1回の結果は、圧倒的な支持を得たトヨタ自動車が総合第1位になった。第2位にサントリー、第3位にはイオンが続いた。
■ESGブランド指数トップ10
次ページに調査概要と上位100社のランキングを掲載)

環境以外で圧勝

 今回の調査では、トヨタブランドの強さが際立った。総合第1位だけでなく、環境では2位になったものの、社会、ガバナンス、インテグリティで1位になった。順位だけでなく、スコアも頭抜けている。上の表のように総合順位を示すESG指数で100を超えたのはトヨタのみ。各テーマのスコアでも、社会、ガバナンス、インテグリティで2位以下に大差をつけている。

 2019年までの調査では、環境ブランドと並行して2017年から社会とガバナンスのブランドイメージを聞く「SGイメージ調査」を実施してきた。その結果、トヨタは圧倒的に高い評価で3年連続1位を獲得している。今回も継続して、ブランド力の強さを示したと言える。

 設問別のトヨタの順位を見ると、改めて強さを実感できる。

 環境では「気候変動の対応に努めている」「省エネに努めている」など12項目中4項目で1位。社会では「労働災害の防止など従業員の安全や健康に配慮している」「製品の安全性に配慮している」など12項目中6項目で1位だった。

 ガバナンスに至っては「経営トップがガバナンスに対する高い意識を持っている」をはじめ全12項目で1位を独占した。インテグリティでも「より良い社会づくり(SDGsの達成)に貢献している」「将来世代のことを考えて経営している」など9項目中5項目で1位になった。

「環境のサントリー」健在

 総合第2位になったサントリーは、過去3年連続で環境ブランド調査のトップを獲得してきた。その強さは今回も健在だ。「生物多様性の保全に努めている」や「自然保護に力を入れている」など4項目で1位を獲得した。約1万2000haに及ぶ「天然水の森」の整備が有名だが、自由意見には「水と生きる」の企業メッセージに言及するものが目立った。

 総合3位のイオンは、小売業で唯一上位に食い込んだ。環境と社会での評価が高い。環境では、「消費者や地域住民・NPOと協力して環境を保護している」で1位、「リサイクルに力を入れている」で2位を獲得。社会では、「フェアトレードなど社会的格差や貧困問題の解消に積極的」で3位になった。

 規制に先駆けたレジ袋の有料化や、地域のボランティア活動を支援する「幸せの黄色いレシート」など長期にわたって実践してきた活動が実を結んでいる。MSC(海洋管理協議会)などの国際認証を得たサステナブルシーフードをいち早く販売している点も評価されている。

 今回の調査結果をどう見るか。日経ESG経営フォーラム・アドバイザリーボードのメンバーである竹ケ原啓介・日本政策投資銀行執行役員は、「全体としては現状を反映しているが、テーマや設問ごとで消費者の理解の熟度が異なり、先進的な取り組みをしていても必ずしも評価につながっていないケースがあると感じる」と指摘する。

 分かりやすいのは再生可能エネルギーの利用に対する評価だ。再エネだけで事業活動のエネルギーを賄う「RE100」には現在、国内38社が加盟している。だが、大和ハウス工業を除いて、この設問の上位20社に入った企業はない。RE100がまだ消費者にそれほど浸透していないことを示している。

 今回の調査では、総合5位までの企業が環境、社会、ガバナンス、インテグリティのどのテーマでも高い評価を受けた。このサイトでは、上位5社のESGへの取り組みや各テーマでの特徴的な結果を連載でお届けする。