社外取締役が主導する

 企業は今後、取締役会をどのように整備し、運営していけばよいか。具体的なステップを示す。

 下の図が、サステナブル・ボードの構築ステップを段階的に示したものだ。準備段階と発展段階に大きく分けられる。

■ 取締役会の進化のステップ
■ 取締役会の進化のステップ
準備段階で、取締役会がサステナビリティに関する執行側の取り組みを監督する仕組みをつくる。発展段階で、サステナビリティ委員会を設置・運用する
(出所:日本総合研究所)

 準備段階は、取締役会がサステナビリティに対する執行サイドの取り組みを監督する仕組みを整備するフェーズである。具体的には、取締役会の議題に対してサステナビリティ項目を取り込むことであるが、取締役会の役割は執行に対する監督機能であるということに鑑みると、単純に議題するだけでは不十分である。理想は、企業戦略が企業価値と社会的価値の双方の向上に資するものであるかを監督することだ。そのためには、取り組みを評価できるための指標の設定と運用といった仕組みの整備が必要となる。また、執行側がサステナビリティに真摯に向き合うようにするためのインセンティブ付与も検討に値する。

 こうした仕組みをガバナンスに組み込むには、導入段階から独立社外取締役が積極的に関与することが重要であり、そのための対応能力の底上げと、候補者人材の確保が重要となる。

個人の能力に依存するな

 この先が発展段階になる。サステナビリティ委員会を設置し、以上の取り組みを持続的に発揮する体制を整備するフェーズに入る。

 取締役会でサステナビリティに関する議論が活発化し、監督の必要性が強まると、現状の取締役会の時間と陣容で十分な対応が困難になってくる。そこで、社外取締役を中心としたサステナビリティ委員会の設置を検討することになる。その際、適切に監督できているか、監督の担い手である独立社外取締役の専門性やパフォーマンスは十分かなどを判断するために、サステナビリティ委員会の実効性評価もセットで導入するのが望ましい。

 一方、現実として多くの日本企業は、準備段階にあるといえる。日本企業の取締役会は、独立社外取締役の個人の能力や努力に依存する傾向が強く、機関設計や独立社外取締役の選任を誰が主導するのかも曖昧である。これだと、現在の経営陣が代わった場合、これまで進めてきたサステナビリティ経営がゼロに戻る可能性も否定できない。どんな環境変化があっても取締役会が持続的に監督機能を発揮できるようにする、そうした仕組みづくりが求められているのである。

 日本では、2022年に東京証券取引所の上場区分の見直しが予定されている。グローバルな機関投資家をターゲットとする「プライム市場」に該当する上場企業は、「我が国を代表する投資対象として優良な企業が集まる市場にふさわしいガバナンスの水準を求めていく必要がある」とされている。こうした市場に資金を投じる投資家の多くが米国や英国の機関投資家であることを考えると、日本企業のガバナンスは、より米国や英国の目線にかなったものにしていく必要があるだろう。

 海外投資家は今後、「サステナブル・ボード」という視点で、企業のガバナンスをチェックすることになるだろう。日本企業は、取締役会の体制整備や取締役の意識改革が急務である。