地方創生は日本のSDGs推進の重要なテーマだ。一過性の補助金ではなく、ESG投資を引き込めるかが鍵になる。

 自治体の持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みが加速している。内閣府が主導する「SDGs未来都市・自治体モデル事業」では、2018、19年に続き、20年7月に33都市がSDGs達成に向けた優れた取り組みを提案する都市として選定された。うち10事業が先進的な自治体モデル事業であり、国から1件当たり3000万円の補助金が提供される。内閣府では今後、SDGsを原動力とした地方創生を進めるため、24年度までに未来都市を累計210都市まで広げるという。

 本制度の前身は、「環境モデル都市・環境未来都市」として、08年から始まったものだ。当時は低炭素社会の実現に向け、温室効果ガスの大幅削減といった先駆的な取り組みにチャレンジする「環境モデル都市」、環境・社会・経済の3側面に優れた持続可能な「環境未来都市」としていた。この流れにSDGsの17目標への取り組みを通じた地方創生という視点が加わり、現在に至る。

SDGsを起点に地域の底上げを図る自治体が急増している。SDGs未来都市に選定された横浜市が2019年8月に開いたイベント「第2回パートナーシップフォーラム」の参加者は130人を超えた<br><span class="fontSizeS">(写真提供:横浜市)</span>
SDGsを起点に地域の底上げを図る自治体が急増している。SDGs未来都市に選定された横浜市が2019年8月に開いたイベント「第2回パートナーシップフォーラム」の参加者は130人を超えた
(写真提供:横浜市)

地方創生SDGs金融とは

 SDGs未来都市の特徴であり、環境未来都市との決定的な違いは「金融」というキーワードだ。内閣府は19年に「地方創生SDGs金融フレームワーク」というコンセプトをまとめた。これは、補助金の交付による一時的な支援だけではなく、SDGsに取り組む地域企業・事業にESG投資を引き込むことで、地域経済の持続的な活性化を図るものだ。

■ 地方創生SDGs金融の考え方
■ 地方創生SDGs金融の考え方
自治体が認証した企業に地域金融機関を通してESG投資を引き入れる枠組みづくりが進む。上の図は「地方創生SDGs金融フレームワーク」の考え方を簡略化して示した

 その流れはこうだ。まず地方公共団体が、SDGsや地域課題の解決に取り組む地域事業者の登録・認証を行う。次に地域金融機関が、登録された地域事業者を対象に金融支援ができる仕組みを構築する。そしてESGやSDGsに関心ある大手銀行・証券が、その地域金融機関に金融支援を行う。最後にESGやSDGsに関心がある機関投資家が、当該自治体や地域金融機関に対してESG投資を振り向ける(右の図)。

 こうした一連の金融活動を通じて、地域経済を活性化させ、自律した資金の循環を目指す。つまり、地方創生の原動力として、拡大するESG投資に高い期待が寄せられているのだ。

 それでは、地域金融機関はSDGsに「ready(準備万端)」なのだろうか。公開情報ベースでは、全国地方銀行協会に所属する64行のうち、約7割に当たる46行が、「SDGs宣言」を自行のホームページで公表していた(20年9月時点、日本総研調べ)。もちろん実際の金融行動に移している組織から、具体策はこれからという組織まで様々だが、徐々にSDGsが浸透しつつある。第二地銀、信用金庫においても徐々にSDGsを掲げた活動が増えている。

 機関投資家はどうか。内閣府が20年3月に公表した調査結果では、回答した126の国内機関投資家のうち、「ESGやSDGsを推進している地方自治体は、取組を行っていない地方自治体より資金を集めやすいと思いますか」という質問に9割以上が「思う」と答えた。そして、5割以上が地方創生SDGsの取組を行う企業に、より積極的に投資を行うとした。

 一方、地域活性化を意識した投資を「行っている」と答えたのは全体の約2割にすぎない。地域活性化への投資の障壁の1位は「特定の地域に注目して投資していない」が42.9%、続いて「情報収集・分析にかかる体制が十分にない」「(情報収集・分析)の費用対効果が見込めない」が同19%だった。期待値と現実のギャップを埋めるための評価と情報開示が今後より重要になるだろう。