進む地域ネットワーキング

 地域における資金の還流を創出するには、自治体、地域企業、地域金融機関のネットワークが必要不可欠だ。SDGs未来都市の選定済み自治体は既に様々なネットワークを構築しつつある(下の表)。

■ SDGs未来都市・モデル事業選定都市の地域ネットワーク
出所:日本総研(2020年8月時点、公開情報に基づく調査)

 多岐にわたるのは名称だけではない。制度内容・目的もSDGs達成に向けた市民参加促進、地域企業のPR促進、ビジネスマッチングなど自治体によって様々だ。こうした自治体を起点とした緩やかなつながりが、前述した地方創生SDGs金融フレームワークにおける地域企業の登録・認証制度に進化していくだろう。

 具体的な取り組みで先行しているのは長野県だ。関東経済産業局と連携し、19年に「長野県SDGs推進企業登録制度」を開始した。募集は20年8月で第5期に至る。

 地域金融機関である八十二銀行は本制度と連携して、SDGsに積極的な企業に対し発行手数料を割り引く「地方創生・SDGs応援私募債」という金融商品を設定した。この商品は「長野県SDGs推進企業登録制度」に登録した法人を対象としている(同制度以外の認証を取得した法人も含む)。

 内閣府の「地方創生SDGs金融」が示すように今後、各自治体のSDGs登録認証制度に登録した地域企業に対し、地域金融機関からの支援が活発化していくことが期待される。

大手金融も制度設計に参画

 地域における金融制度の構築を重視しているのが横浜市だ。20年8月末、横浜市SDGs認証・事業評価制度「Y-SDGs」を公開した。続く11月末には、第1回の認証事業者を発表したばかりだ。同市はかねて企業との協働事業である中間支援組組織「ヨコハマSDGsデザインセンター」を中心に会員企業を募り、SDGsに関連するプロジェクトを推進してきた。今回、既存制度を更新する形でY-SDGsを運用していく。

 Y-SDGsは認定事業者の評価項目を「E(環境)」「S(社会)」「G(ガバナンス)」に加え「L(地域)」の4分野に再編成した。あえてESGの分類を用いたのは、ESG投資への関心を高めている金融機関や機関投資家との共通言語であることを強く意識しているからだ。また、横浜市ではこれまでも様々な企業向け登録認証制度を構築してきた。それらとの関連性を考慮し、既存制度の登録企業には、新たな登録作業への負担軽減を図る。さらに、文化・芸術への取り組みに関する評価項目など横浜の地域性を考慮した内容となっている(下の表)。

■ 横浜市の「Y-SDGs」登録認証制度の概要
注:本記事執筆時点。今後の運用に応じて内容が更新される可能性がある
(出所:日本総研が横浜市へのヒアリングを基に作成)

 本制度の構築を進める横浜市は、「市内企業をはじめとする多くの企業等に制度を活用してもらうことで、オール横浜によるSDGs未来都市の実現、SDGs達成を目指していく。今回の制度はそのツールの1つであり、持続可能な経営への転換、新たな顧客や取引先の拡大やESG投資などの投融資判断に活用できる実用的な制度を目指しています」と、横浜市温暖化対策統括本部SDGs未来都市推進課の高橋知宏氏は説明する。

 Y-SDGsは、具体的な金融につなげることを企図して、20年度に事業の検討パートナーとしてSMBCグループが加わった。同行が金融の実務面から、Y-SDGsをどのように活用できるかを年度内に検討する。