市場再編では、21年6月に再改訂されたコーポレートガバナンス・コードの適用が求められている。グロース市場には基本原則が、スタンダード市場には全原則が、プライム市場にはより高いガバナンス水準が求められている。そこで、改訂コーポレートガバナンス・コードの対応状況を聞いた。

 「全てに対応済み」と答えた企業はわずか4.9%だった。未対応企業の意向を見てみると、「これから対応する予定(フルコンプライを目指す)」が41.9%で、「全て対応するつもりはない(エクスプレインする)」が45.3%だった。

■ 改訂コーポレートガバナンス・コードの対応状況
■ 改訂コーポレートガバナンス・コードの対応状況
回答企業数:948
全てに対応(フルコンプライ)している企業はわずか4.9%。今後、フルコンプライを目指す企業と、目指さない(エスプレインする)企業に大きく分かれた

 全ての原則を順守するフルコンプライを目指す企業と目指さない企業に大きく分かれた格好となった。フルコンプライを目指すには、ガバナンスだけでなく企業の様々な改革が必要となる。食らいつこうとする企業が多い一方、独自の道を模索する企業も多い。

 この先、未対応コードをエクスプレイン(説明)する企業が増えそうだ。経営者は、企業価値向上のためにコードの何を順守して何を順守しないのかという説明が求められる。

TCFDの難易度が高い

 改訂コーポレートガバナンス・コードの主な原則について、難易度を聞いた。

 「難しい」「やや難しい」の合計が最も多かったのが、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等に基づく開示」の67.6%である。この原則は、プライム市場の企業に求められている。

 TCFDでは、将来シナリオに基づいたリスクと機会の分析とその財務インパクトの開示が求められる。先行事例が出てきたものの特定の開示フォーマットなどはなく、企業にとって難しい課題となっている。

 TCFD情報開示は、経営者のコミットだけでなく企業全体の取り組みが必要となる点も、難しいと感じる理由だろう。将来リスクと機会の分析は経営企画部門、環境の取り組みは環境部門、財務インパクトは財務部門、情報開示はIR部門といった具合に関係部門が多岐にわたり、企業の総合力が試される。

 次いで難易度が高いという声が多かったのが、「管理職における多様性の確保」の49%である。改訂コードでは管理職に、女性、外国人、中途採用者などの登用を求めている。人材育成は一朝一夕にはできない。多様性の観点を踏まえた経営戦略を人事戦略に落とし込み、採用や育成計画を実践していく必要がある。

■ 改訂コーポレートガバナンス・コードの達成難易度
■ 改訂コーポレートガバナンス・コードの達成難易度
回答企業数:948
多くの企業がTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の情報開示が「難しい」と感じている。管理職における多様性の確保にも頭を悩ませている
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