「必要な人員・予算が確保できない」が40.4%で3番目に多かった。今やサステナビリティやESGの取り組みは企業全体で求められており、その分野は、ガバナンス、環境、人権など多岐にわたる。それぞれの分野が専門的であり、各分野に精通した人材の確保や育成が課題となっている。上位5番目以降は、「社内の情報収集が困難」(22.8%)、「経営陣のESGの理解や情報発信が弱い」(20%)と続いた。

■ESGの取り組みの課題
■ESGの取り組みの課題
「どのように情報開示すべきか知識・ノウハウがない」「企業価値に貢献するか示せない」「開示基準が乱立している」など、「情報開示」に関する課題が上位を占めた

 以上の結果から、この先、企業がESGにどのように取り組むべきか、ヒントが見えてくる。

連携・人材・説明の充実を

 企業のESGは、全社のESG目標を宣言する段階から、目標実現に向かって各部門で実践する段階に入っている。現在、ESG推進を担うサステナビリティ部門を設置している企業は多いだろう。それで終わりではなく、サステナビリティ戦略に沿った部門ごとの実践と、それらの監視の仕組みが必要になってくる。

 ESGを中期経営計画などに組み込むためには、サステナビリティ部門だけでなく、経営企画部門や財務部門と連携する必要がある。ESG情報開示はIR部門、管理職の多様性は人事部門、ESGデータの収集は情報システム部門など、関連部門は広範囲にわたる。最高経営責任者(CEO)だけでなく、最高財務責任者(CFO)、最高人材責任者(CHRO)、最高デジタル責任者(CDO)などの旗振りが欠かせない。

 これらの推進役とまとめ役を担うのが、経営者であるCEOに他ならない。CEOのリーダーシップがより重要になっていく。

 この先、特に経営者に求められるのが説明力だ。投資家は、企業が改訂コーポレートガバナンス・コードでエクスプレインを選択した理由に注目している。企業価値向上のための意思あるエクスプレインなのか、それとも自己保身なのか、投資家は経営者の説明でそれを判断する。

 ESG説明会や統合報告書の説明会をする企業が増えてきた。今後は、四半期ごとの決算説明会や株主総会などでもESGに関する情報発信がより求められていくだろう。経営者によるESGに関する情報発信が、企業価値を左右する。

 部門を超えた連携、サステナビリティ人材の育成、情報開示と経営者による説明――。ESGの取り組みを企業価値に結び付けるには、この3つが鍵といえる。