気候変動への投資家の関心が高まっています。最近スコアリングで指標を変えたり、重みづけを変えたりしたテーマはありますか。

ファング 気候変動には投資家から強いリクエストがあります。低炭素のためのサービスやソリューションを予算や資源にどう配分しているかに彼らは注目しています。低炭素への移行が彼らの注目の1つです。

 もう1つは、新型コロナ感染症の世界的大流行により、ESGの「S(社会)」の意識が高まっています。公平性、インクルーシブ(包摂的)、ダイバーシティ、ジェンダー、人権に投資家の注目が高まっています。

 我々は市場の要求を取り入れて、指標を適時見直しています。18年には気候変動の指標にTCFD提言を反映させました。最近大きく変えた点は2点あります。1つはESG格付けへの気候変動の基準。2つ目はグリーン収益(売上高に対するグリーンな製品・サービスの比率)の追加。約3000社のデータが既にあり、調査対象は1万6000社に上ります。

石油、ガス、鉱山にハードル

いま話された気候変動の基準の見直しについてお聞きしたい。21年1月、「FTSE4Good指数シリーズの気候変動の基準を改定する」と発表しました。「TPI(低炭素経済推進イニシアティブ)」の評価手法を取り入れて改定するそうですね。その経緯は。

ファング TPIは英環境保護庁年金基金などが主導し、90以上の世界の機関投資家が参加するイニシアティブです。英アビバ・インベスターズやスウェーデン公的年金基金などが参加し、企業の低炭素経済への移行の準備・対策を評価しています。

 TPIは、TCFD提言を反映して低炭素経済移行へのガバナンスをデータで明確化し、低炭素に向けた変革を求めています。低炭素に向けて企業の管理やガバナンス体制を移行させているか、開示しているか、目標を達成すべく社会実装するのに必要なプロセスを実施しているか、などを評価しています。

 FTSE4Goodに用いるESG格付けには、気候変動を評価する指標がもともと50強ありましたが、今後はTPIが示す16指標に絞ってスコアリングし直します(下の表)。TPIの指標には、温室効果ガス排出量などの他、気候変動対策の体制、戦略的な統合、シニアレベルでのガバナンスなどTCFDの枠組みに沿ったものがあります。新しい基準に沿って評価し直します。

■ FTSEが今後の気候変動評価に使う16指標
■ FTSEが今後の気候変動評価に使う16指標

12カ月の猶予期間で改善を

世界的にカーボンニュートラルを進める企業が増え、トランジションファイナンスが進む中、FTSEも大きくかじを切ったということですね。いつから変更しますか。インデックスから除外される企業はどの程度出てきますか。

ファング 21年6月に基準を変更します。特に石油、ガス、鉱山など炭素集約度の高いセクターは、適格性があるか厳しく評価され、高いハードルが設けられます。新興国と先進国の企業ではハードルを変えていて、新興国の企業はハードルを下げています。

 FTSE4Good All-Worldの約10%に相当する約150銘柄が新しい基準を下回っています。基準をクリアできないとFTSEのチームが対話し、改善を促します。

FTSE Blossom Japan Indexでも、新しい基準でインデックスから外れる銘柄はありますか。

ファング 10%の企業が影響を受けます。ただし、すぐに除外されるわけではなく、12カ月の猶予期間を設けてエンゲージメント(相談や協議)を行います。改善が認められればインデックスにとどまります。改善が見られない場合は除外の可能性があります。十分な期間を設けていますので、取り組みを進めていただくとともに、相談にも乗る予定です。

FTSEラッセル サステナブル投資部門 アジア太平洋地域責任者<br>ヘレナ・ファング 氏<br><span class="fontSizeS">(写真:FTSE ラッセル提供)</span>
FTSEラッセル サステナブル投資部門 アジア太平洋地域責任者
ヘレナ・ファング 氏
(写真:FTSE ラッセル提供)