どのような基準を設けますか。

シュタイナー SDGsを達成するための戦略的な意図と目標を設定している、インパクト測定と管理を実施している、透明性や説明責任を果たしている、といった基準から構成されています。第三者認証機関が基準に照らして審査し、認証を与えます。

 我々は基準づくりと並行して国別の「SDGs投資マップ」作成も試験的に実施しています。SDGsの17目標である食料や農業、エネルギー、インフラなどの分野のうち、有望な投資機会のある領域を国別に特定するものです。どの領域なら大きなインパクトが得られ、投資を呼び込めそうかを特定できます。

 ブラジルの例を話しましょう。同国では食品廃棄が大きな問題です。農産物を市場まで輸送する間に廃棄物が多く発生していることが分かりました。各地の生産地に輸送網を広げるよう輸送セクターに投資を呼び込むことで、食品廃棄問題を改善できると関連付けしました。

 もう1つの対策として特定したのが保管です。ブラジルは国連食糧農業機関(FAO)の定める保管基準を完全には満たしていません。不動産投資による設備投資で改善が可能です。政府や企業が協働し、問題のある領域に取り組めば、適切な投資によって大きな改善が見込めます。

SDGインパクト認証を活用した例は既にありますか。

シュタイナー メキシコ政府が、UNDPの助言を基に欧州市場で7億5000万ユーロのSDGsボンドを発行しました。発行額を大きく上回る需要がありました。「SDGsに良いインパクトを与える」というアシュアランスを得られたことが一因です。投資家は「SDGsへのインパクト投資をした」と証明できることから関心が集まりました。

人間の安全保障を日本に期待

SDGs達成に向けて、UNDPが日本企業との連携で期待している分野があれば教えてください。

シュタイナー 我々は多くの日本企業と共同で仕事をしてきました。例えば富士通は、UNDPと東北大学が設置した「災害統計グローバルセンター」で災害統計データ蓄積の基盤を整備し、複数の国での試行プロジェクトにも参加しています。

 UNDPと住友商事の現地法人トヨタイラクは、内戦で住居を追われたイラクの若者が職に就けるよう研修プログラムを提供しています。自動車整備、在庫管理、顧客サービスの研修を提供し、若者をトレーニングしました。人間の安全保障は日本が貢献できる分野です。

 一般社団法人「Japan Innovation Network(JIN)」とUNDPは、企業の技術やノウハウを生かして課題解決を目指すオープンイノベーション・プラットフォーム「SHIPプログラム」を運営しています。SDGsの目標に関連付けてビジネスモデルをつくるワークショップや企業の経営戦略づくりを支援しています。

 SDGs達成に必要なのはイノベーションです。企業との様々な協働により、SDGsが目指す社会変革の道筋を見いだしたいと考えています。

国連開発計画(UNDP)総裁 アヒム・シュタイナー氏<br><span class="fontSizeS">(写真:UNDP提供)</span>
国連開発計画(UNDP)総裁 アヒム・シュタイナー氏
(写真:UNDP提供)