日用品大手のP&Gジャパンは、「平等」を経営戦略の中核に据えた。環境・サステナビリティの取り組みに磨きをかけ、中長期の成長基盤を固める。

新型コロナウイルス禍の中でも、環境・サステナビリティの取り組みを強化しています。業績にも寄与していますか。

スタニスラブ・ベセラ 氏
P&Gジャパン 社長
1969年チェコ共和国生まれ。91年P&Gグループ営業本部入社 (チェコ共和国)。ナイジェリアや南アフリカ共和国でジェネラルマネージャーやヴァイスプレジデントを経て、2015年9月プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン社長。21年1月から現職(写真:北山 宏一)

スタニスラブ・ベセラ 氏(以下、ベセラ) ビジネスの成長に特に寄与していると思える分野としては、使用済みプラスチックの回収活動があります。これを通じて消費者に新しい習慣を喚起しました。

 実際に回収したものをリサイクルして、オリンピックの表彰台やフェースシールドの製造につなげることで、自分が持っていった使用済みボトル容器がそういう形で社会に貢献するんだという意識を消費者に持っていただいた。これにより、さらに活動が喚起されてビジネスの成長に反映されてきました。

 環境・サステナビリティは厳然たるビジネス戦略であると思っています。「世界を変える力、未来を育てる力(A Force for Good, A Force for Growth)」のテーマの下、このような活動をビジネスプランの中に組み入れています。

8割がプラごみ回収を支持

例えば2020年は、日本環境設計(東京都千代田区)と共同で、「プラごみペイ」と呼ぶプロジェクトを実施しました。北海道でドラッグストアを展開するサッポロドラッグストアーの協力を得て、使用済みプラスチック容器の回収に参加した消費者に「LINEポイント」を進呈する取り組みでした。こうした活動によってP&Gのファンが増えたといった手応えはありますか。

北海道のサッポロドラッグストアーで使用済みプラスチック容器を回収した。協力した消費者に「LINEポイント」を付与する仕組みで回収量を伸ばした(写真:P&Gジャパン)

ベセラ ブランドに対するロイヤルティや活動への参画意識の高まりは、私たちが予想していた以上のものだったと言えます。オリンピックの表彰台のプロジェクトも含めて、小売店での使用済みプラスチックの回収量は、世界でも日本が一番多かったのは誇りに思います。

 プラごみペイに関して実際に調査したところ、消費者の80%が使用済みプラスチック容器を回収しているお店で買い物をしたいと答えています。消費者の意識が非常に高まっており、これはブランドや企業のロイヤルティに反映されているのではないかと思います。

 サステナビリティに取り組んでいる企業をサポートしていきたい、そういう製品を買っていきたいという気持ちは非常に拡大しているのではないでしょうか。もちろんその製品が十分な性能を満たしていなければだめですけれども、このような意識の変革は日本においても急速に起こっていると思います。

経営戦略の一環として「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」にも積極的に取り組んでいます。20年、女性管理職比率が33%、女性役員比率が26%に達しました。21年3月の記者懇談会では、「イクオリティ&インクルージョン(E&I)」と呼んでいましたが、どんな意図があるのですか。

ベセラ ダイバーシティ(多様性)はイクオリティ(平等)の基盤となるものです。結局、数字で表されるものです。性別もそうですし、人種もそうですし、いろいろなバックグラウンドの方々で構成されている社会を反映した形で企業をつくっていくのがダイバーシティです。対して、イクオリティはダイバーシティの理想を実現するものだということです。