ポルカリ 学校の校庭で栽培した葉物野菜を給食で提供するプログラムも始めました。人道支援に頼っていた難民キャンプで、家畜の飼料を水耕栽培して家畜を育て、牛乳を生産できるようになった例もあります。経済的機会が高まれば、所得も向上します。

 農家が使えるアプリ「Farm2Go」も開発しました。小規模農家とローカル市場をつなげ、販売量を増やすアプリです。農家は生産性向上のトレーニングや助言も受けられます。

 アフリカやアジアでは小規模農家が食料を生産していますが、収率が低く、ローカル市場とつながりにくく、有用な金融手段に恵まれないという課題を抱えています。アプリによって小規模農家がバイヤーと良い関係を築くことで農作物の販売が増え、経済的な好循環が生まれます。金融面が安定すれば農家の信用度も高まります。ケニア、ルワンダ、バングラデシュで1000人以上の小規模農家がアプリを活用しています。

これらの技術は企業と共同開発したのでしょうか。どのように資金を得て技術開発を進めていますか。

ポルカリ WFPは100%寄付金で賄っている組織です。我々には「イノベーション・アクセラレーター」という考え方があります。飢餓に立ち向かうため何ができるかという課題に対して、人々がアイデアを持ち寄って新しいものを創り出し、スケールアップします。例えば農家のアプリはベルギー政府がハッカソンを開催し、企業が知恵を出し合い、有望な技術を実用化しました。

 このため、我々は政府や企業との連携を大切にしています。スウェーデンのエリクソンからは紛争地域にアクセスするソリューション開発の支援を受けてきました。NECとは生体認証や安全なデータ利用、武田薬品工業とは医療分野で連携しています。技術や場所、資金を得るのに、政府や企業との共創が重要です。

飢餓撲滅は国連の持続可能な開発目標(SDGs)のテーマでもあります。企業にとってWFPとの仕事はどんなインセンティブがありますか。

ポルカリ かつて企業はCSRの一環でWFPに協力していましたが、最近はブランド価値を高め、人材確保に有用と考えているようです。人材確保の競争が激化する中、WFPとのパートナーシップは先進技術に詳しい優秀な人材を引き付ける手段になっているようです。

 日本政府はWFPの大きなドナー国です。日本企業は技術力があり、専門知識も豊富です。技術の共同開発や、ハッカソンのようなイベントの開催も考えています。WFPとの連携を、技術を開発し、事業のサステナビリティを追求する好機になると考えてもらえるとうれしいです。

国連世界食糧計画(WFP) 最高情報責任者 兼 技術ディレクター エンリカ・ポルカリ氏
(写真:WFP)