CSV経営のベースに企業文化を挙げていますが、どう浸透させたらいいのか多くの企業が悩んでいます。

レイク まず大切だと考える点は、トーン・アット・ザ・トップ(経営陣の姿勢)だと思います。経営者が、コアバリューに掲げていることと矛盾した判断や行動をしていれば、社員はしらけてしまいます。

 日頃から、コアバリューの実践が大切であることを経営の意思決定の様々な段階で見せることが重要です。eラーニングなどいろいろな手段を使って浸透させることもしなくてはいけないでしょう。さらに、人財マネジメント制度やリーダーシップ研修などがコアバリューに基づく内容であることも大切です。

アフラックのコアバリューを社員が実感できるような意思決定としてはどんなものがありましたか。

レイク 最近の事例としては、新型コロナウイルス感染症問題への対応があります。パンデミックで世界の人の動きが止まり、社会経済活動に大きな打撃を与えています。多くの企業がBCP(事業継続計画)を策定していますが、これほどの状況を想定したシナリオの準備はできていなかったと考える経営者も多いのではないでしょうか。

 アフラックでは、早い段階で事業継続マネジメント(BCM)を稼働させ、20年5月には取締役会での討議を経て「新型コロナウイルス感染症問題に関する基本方針」を定めました。

 そこでは、まず最初に「お客様第一のコアバリューの実践」がエッセンシャルサービスである生命保険業を担っている以上最も大切であることを確認しました。次いで、「人財を大切にするコアバリューの実践」「持続可能な業務態勢の確保」を掲げ、この3つのゴールと優先事項を明確に設定しました。

 危機対応において大切なのは優先順位を組織に明確に示すことです。「大事なことからまず対応する」という当然のことが徐々にできなくなるのが危機と向き合う現場組織の現実です。この基本方針は、組織のパーパス(存在意義)を再確認して、大きなプリンシプル(原則)を提供し、それに基づいてBCPではなくBCTP(事業継続・変革計画)を策定し、創発的にアップデートすることを求めています。

 これにより、お客様やビジネスパートナーのペインポイント(不満や悩みの種)を洞察し、アジャイル(機動的)に業務を遂行する態勢が確保できました。その結果、例えば対面せずにオンラインで保険契約を完結する業界初のシステムをわずか6カ月で確立できました。

 全て完璧にできているとは思っていませんが、危機の中にあったこの1年半、アフラックの役職員は一丸となってコアバリューを実践してきたのではと考えています。

アフラック生命保険 代表取締役会長 チャールズ D.レイク Ⅱ 氏<br><span class="fontSizeS">(写真:鈴木 愛子)</span>
アフラック生命保険 代表取締役会長 チャールズ D.レイク Ⅱ 氏
(写真:鈴木 愛子)