ESG投資は経済合理的

――特に重視しているリスクは。

ワイマン やはり気候変動です。気候変動対策として、社会や経済が低炭素エネルギーに転換していくことも、現在の重要なテーマです。

 加えて公害や生物多様性保全も重要なトピックです。他に社会的課題として高齢化や医学の進歩といった変化に対し、保険業界としてどのようにサポートすべきかが重要です。

 資産運用においても長期的に安定したリターンを得るだけでなく、ESGの観点を取り入れることが重要です。2017年、株式のアクティブ運用やクレジット市場のポートフォリオでESGに基づくベンチマークを採用しました。100%に近い資産がESG基準に基づき運用されています。

 ESG投資は経済合理性も備えています。リスク調整ベースでのリターンが高まるだけでなくボラティリティー(変動率)も下げられ、金融市場の変動を吸収できます。

――調査によれば、17〜18年の自然災害に起因する世界の保険損害額が2190億ドルとなり、2年の通算として史上最大となったそうですね。顕在化する気候リスクに保険会社としてどのように対処しますか。

ワイマン 世界各地で極端な気象現象が見られることに疑いはありません。ただすべてを気候変動と結び付けるのは、やや拙速かもしれません。例えば台風や洪水といった資本に影響を与える非常に大型の自然災害と、局地的な豪雨や干ばつ、山火事、水不足、河川の洪水など収益に影響するものの資本にまでは影響しない事象を分けて考えるべきです。

 大型の自然災害は、必ずしも増えているとは言えません。ただその深刻さ、激甚化の程度が高まる可能性があります。動向をきちんとモニターしていく必要があります。特に海水面の上昇は注視すべき事象の1つでしょう。より内陸にまで海面が達することになりかねません。

 2つ目の収益に影響する局地的事象を我々は「二次的な危険(セカンダリー ・ ぺリル)」と呼んでいます。これらによる損害は明らかに頻度が増加する兆候が見られます。これにより再保険会社がすぐに被害を受けるわけではありません。ただ、状況をモニターし続けることは必要です。リスクを吸収し、管理するソリューションを提供していきます。