製品にA〜Eラベルを表示

グローバルでは、製品が環境・社会に及ぼす影響を測り、製品ごとに5段階のラベルで表示する仕組みを開発したそうですね。とても興味深いです。

36のブランドを持ち、売上高約299億ユーロ(3兆7400億円)のロレアルグループは、製品ごとに環境・社会的な影響を測定してA〜Eの5段階のラベルで消費者に示す活動を開始する。来年「ガルニエ」ブランドから導入する。上はイメージ画像

ブリュア ロレアルの消費者は約15億人に上ります。製品の環境・社会的な影響を測定し、A〜Eの5段階のラベルで示す「製品の環境・社会的影響表示ラベル」を開発しました。消費者はラベルやスコアを製品のウェブサイトで見ることができます。「ガルニエ」ブランドの洗い流すタイプのヘアケア製品に21年から導入し、他の製品にも広げていきます。

 この仕組みの開発には3つの理由があります。1つは客に製品がもたらす環境や社会への負荷を伝え、商品を購入する際の意思決定に使ってもらう義務があると考えたこと。彼らにサステナブルな購買のチャンスを与える必要があります。

 2つ目は消費者にライフサイクルのどこで負荷が大きいか、フットプリントを知ってもらうこと。例えばシャンプーは使用時に環境負荷が大きいですよね。お湯を使いますし、エネルギー使用量も大きい。事実を知り、意識を高めることで一人ひとりの行動を変えていきたい。

 3つ目は知りたいというニーズが消費者から高まっていることです。彼らは透明性を求めています。原材料がサステナブルなものかどうかを知ってもらうことができます。

表示ラベルの付与は御社のブランドだけで行うのですか。業界で標準化された評価方法はありますか。

ブリュア 標準化された表示方法や業界で統一された評価方法はありません。だからこそ科学者と連携して構築しました。ロレアルでは今回、外部の科学者に評価手法について承認を得ました。また、ビューロベリタスにデータを検証してもらっています。業界で統合された評価方法があればよいのですが、まずは個社でもサステナビリティ情報を客に伝えることが重要だと考えています。

ジェンダー平等は信念

欧米と日本の消費者ではサステナビリティへの関心は違いますか。

ブリュア 日本では他国よりサステナビリティの認知度や意識は低いと感じています。PwCの調査では、日本人の60%が「サステナビリティを聞いたことがない」と答えています。北米では20%台です。購入時の意思決定についても、「サステナブルな商品でないので購入をやめた」という日本人は15%にすぎません。米国では半分に上ります。

 日本では買い物の際に包装を受け取るケースが多いですが、欧州では受け取りません。ただ、日本には洗練されたリサイクルの仕組みがあるという事情の違いもあるでしょう。

 日本ロレアルでは11の主要ブランドで、20年中にブランド発信型のサステナビリティ活動を始めます。スキンケアブランドの「キールズ」では、年間約55万枚使用している紙製ショッピングバッグの過剰な製造を減らし、森林保全につなげる活動を始めました。19年8月から、店頭で客がショッピングバッグを辞退すると、1回につき10円を森林保全団体「more trees」に寄付しています。20年6月までの寄付人数は10万5408人に上りました。

ジェンダー平等に力を注いでいます。どう取り組んでいますか。

ブリュア ロレアルのジェンダー平等は当社の強い信念に基づくものです。人は平等だという倫理観からきています。また、多様性こそ事業の成長をもたらします。困難に直面した時、多様なほうが対応策もたくさん出てきます。

 様々な多様性を大切にしていますが、その1つがジェンダー平等です。女性の産休や育休が昇給や昇進に影響を与えないようにしています。大前提として、同じ内容の同じ仕事なら、属性にかかわらず同じ給料をもらえるという考え方を社として持っています。

 女性はライフステージが色々あり、一律ではありません。個人個人に合わせ、どのようなキャリアパスを描くか、社員が上司や人事と膝を交えて話し合い、ライフスタイルに沿ってキャリア開発計画を作れるようにしています。社員のスキルやライフスタイルを聞き、まさにテーラーメードで作ります。ロレアルはもともとオープンな風土があり、対話が活発です。こうした目に見えない風土が文化であり価値です。

日本ロレアル 代表取締役社長 ジェローム・ブリュア 氏