欧州では「持続可能な食」に投資家や金融機関の関心が急速に高まっている。オランダの農林系金融大手ラボバンクのマーティン・ビアマンス氏と、ラボバンクの資産運用会社であるロベコのピーター・ヴァン・デル・ワーフ氏に真意を聞いた。

欧州では食のサプライチェーンに投資家や金融機関の関心が高まっています。背景には何がありますか。

ピーター・ヴァン・デル・ワーフ氏
ロベコ アクティブ・オーナーシップ シニア・エンゲージメント・スペシャリスト
オランダのワーゲニンゲン大学で環境科学の修士号を取得。市場でビジネス開発に4年以上携わった後、2011年にロベコに入社し、現在、エンゲージメント・プログラムのリーダーを務める。200社以上の世界的な食品・農業、農薬、製薬会社と協働。PRI(責任投資原則)の多くのワーキンググループの諮問委員会メンバーを務める他、持続可能なパーム油に関する円卓会議(RSPO)などの委員会で活躍している

ピーター・ヴァン・デル・ワーフ氏(以下、敬称略) 食料生産は環境に大きな負担をかけます。農地開発は森林破壊につながりますし、生物多様性にも影響を与えます。例えば大豆を生産して水産養殖の餌に使えば、陸上ばかりか海洋の環境にも影響を及ぼします。ロベコはサステナビリティや生物多様性が守られているかに高い関心を持っています。

マーティン・ビアマンス氏(以下、敬称略) ラボバンクは食品・農業向けの融資や金融サービスを行う金融機関です。我々は気候変動問題は食料生産と直結していると考えています。最も懸念しているのは、食のサステナビリティを実現しないと人類の存続にかかわるということです。2050年には世界人口は100億人に迫り、食料不足が心配されます。早急に対応しなければなりません。

サステナブル・ファイナンス活用

「持続可能な食」への投融資やエンゲージメントも増えていますか。

ヴァン・デル・ワーフ ロベコの運用資産残高は1550億ユーロ(約20兆円)で、約6000社に対して議決権行使をしています。当社はグローバルな資産運用会社ですので、気候変動や人権・労働などESG全般にわたってエンゲージメントをしています。気候変動問題が中心を占めますが、食のサプライチェーンのテーマも増加してきました。約10%が食料関係です。例えば、世界最大級の水産会社タイユニオン(タイ)に現代奴隷への対応を求めるエンゲージメントをしたり、サーモンの生産会社モウイ(ノルウェー)に責任ある養殖のエンゲージメントなどを実施しました。

■ ロベコが水産会社と実施したエンゲージメントの例
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■ ラボバンクが進めるサステナブル・ファイナンス

ビアマンス ラボバンクは早くから、食料・農業関係の債券や融資にサステナブル・ファイナンスを取り入れてきました。07年にグリーンボンドを発行したのが始まりで、この分野の先駆者でした。17年には「サステナビリティ・リンク・ローン」も開始しました。サステナビリティの目標を組み込んだ融資で、融資を受ける企業はそれをKPI(重要業績評価指標)として達成しなければなりません。達成すれば低い金利が適用されます。幸い多くの食品・農業関連企業がKPI達成の必要性を理解してくれています。

 既に当行のローンの10%がサステナビリティ関連になっており、急速に伸びています。いずれ100%に近づくでしょう。サステナブル・ファイナンスによる貸し出しは数百件、100億ドルに上っています。