5日間にわたり東京・日本橋で開催した「日経SDGsフェス in 日本橋」。多数のセッションの中で、気候リスク開示の必要性と効率化が議論された。

 日本経済新聞社と日経BPは2021年12月6~10日、「日経SDGsフェス in 日本橋」を開催した。7日開催のSDGsフォーラムでは「気候変動と企業の情報開示のあり方」をテーマにディスカッションが行われた。

 登壇した「持続可能な開発のための経済人会議(WBCSD)」のピーター・バッカーCEOは、「企業は財務業績の定期報告と、環境や社会へのインパクトに関する情報を統合して開示すべきだ」と指摘し、「資本市場が企業を長期視点で評価するために気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づき気候リスクの説明責任を果たしてほしい」と話した。

 9日開催の「デジタル・サステナビリティ会議」では「TCFD開示におけるデジタル/IT技術利用の有用性」と題したディスカッションを行った。

2021年12月9日開催の「TCFD開示におけるデジタル/IT技術利用の有用性」と題したセッションの様子。左が日本アイ・ビー・エムの鍋島四郎パートナー、右が三井住友銀行の末廣孝信部長
2021年12月9日開催の「TCFD開示におけるデジタル/IT技術利用の有用性」と題したセッションの様子。左が日本アイ・ビー・エムの鍋島四郎パートナー、右が三井住友銀行の末廣孝信部長

「作業より戦略策定に注力を」

 日本アイ・ビー・エム IBMコンサルティング事業本部銀行証券セクターの鍋島四郎パートナーは、TCFD提言に対応する情報開示は、デジタルトランスフォーメーション(DX)で効率化できることを強調した。

 多くの日本企業は手作業や表計算ソフトを使って「スコープ1~3」と呼ばれる温室効果ガス排出量を算定したり、気象災害による物理的なリスクや、気候変動政策の強化による移行リスクの開示情報をまとめたりしている。鍋島氏はデジタル化により情報収集がしやすくなり、正確さを確保できると話した。

 TCFD開示に積極的な三井住友銀行ホールセール統括部の末廣孝信部長は「TCFDへの対応には膨大な人員と時間がかかるが、企業が資源を投じるべきは排出量算定などの作業よりも戦略の策定。作業の効率化にはデジタル化が有効」と話した。

■ TCFD開示を進めるうえでの課題
■ TCFD開示を進めるうえでの課題
日本アイ・ビー・エムが整理した、TCFD開示を進める上での課題を基に作成
(出所:2021年12月9日開催「日経SDGsフェス デジタル・サステナビリティ会議」日本アイ・ビー・エム、三井住友銀行 講演資料)

 三井住友銀行と日本アイ・ビー・エムは、米IT企業のザ・クライメート・サービス(TSC)と9日、覚書を交わした。TSCはTCFDが求めるリスク・機会の分析や、財務影響の定量化サービスを提供。3社は22年から日本で同サービスを提供する。

 プライム市場上場へ企業がTCFD開示を本格化させる中、支援するデジタルサービスの競争が始まりそうだ。