資本コストを活用し事業ポートフォリオ改革を進める企業のPBRは高い。この1年間で政策保有株式の縮減を進めた企業もPBRが向上している。

 ガバナンスの強化は企業価値に結び付くのか。三井住友信託銀行は、2021年7月9日~8月27日にかけて上場企業3826社を対象にした調査「ガバナンスサーベイ2021」を実施した。1787社から回答を得た。

 企業は、資本コストを活用した経営が求められている。資本コストは投入した資本にかかるコストのことで、投資家にとってみると企業に最低限求めるリターンとなる。資本コストを超過する収益を得られているか、投資家はそこに注目する。

 調査では、企業価値を表す指標の1つとして株価純資産倍率(PBR)を取り上げ、資本コストの活用とPBRとの関係を調べた。「超過収益プラスかつ資本コストを活用している」と答えた企業のうち、PBR1倍以上の企業は61%だった。一方、「超過収益マイナスかつ資本コストを活用していない」と答えた企業は、同35%だった。資本コストを活用し、事業ポートフォリオの見直しなどを実践できている企業のPBRが高い。

■ 資本コストの活用とPBRの関係性
■ 資本コストの活用とPBRの関係性
注:PBRは株価純資産倍率。上の「超過収益」は資本効率性-資本コスト。「資本コストを活用している」とは、「事業ポートフォリオの見直し」「低採算・ノンコア事業の縮小(撤退)」のいずれかで活用していると答えた企業
(出所:三井住友信託銀行「ガバナンスサーベイ2021」(以下同じ))

 政策保有株式とPBRの関係も調べている。この1年間で政策保有株式の縮減を「完了」した企業は、PBRが0.26増えた。縮減に「対応中」の企業は0.11増えた。一方、「対応予定」「予定なし」「増やしている」と答えた企業のPBRは減少した。「完了」と答えた企業の平均PBRは3.96と市場平均を大きく上回った。

■ 政策保有株式の縮減とPBRの関係性(足元1年間によるPBRの変化)
■ 政策保有株式の縮減とPBRの関係性(足元1年間によるPBRの変化)
注:PBRは、個社の1株当たり純資産(BPS)÷株価で算出。平均PBRは、算出したPBRを各母集団の企業数を基に算出(2021年7月時点)