CDPは2022年の質問に生物多様性を加え、ガバナンスや影響評価を尋ねる。23年以降は食料や海洋なども含む統合質問書に生まれ変わる。

 CDPは2022年1月、企業に環境への対応を質問してその回答を格付けする「CDP2021」の結果報告会を開催した。最高評価のAを獲得した日本企業は気候変動で56社、水セキュリティで37社と、国別企業数で1位だった。気候変動、水セキュリティ、フォレストの全てがAの「トリプルA」は世界14社のうち日本企業が2社(花王、不二製油グループ本社)を占めた。報告会に登壇した岸田文雄首相は優れた企業に資金を呼び込めると日本企業の健闘を祝福した。

 この結果報告会で大きな話題になったのが、22年以降の質問書の変更だ。従来CDPは「気候変動」「水セキュリティ」「フォレスト」の3テーマに分けて質問書を企業に送付していたが、今後「生物多様性」「土地利用」「海洋」「食料」「廃棄物」などのテーマが加わり、23年からこれらを統合した1つの質問書を送る。

 統合は徐々に進める。その第1段階として、22年の気候変動質問書に生物多様性の質問を新たに設ける。金融セクター向けには水と森林課題への対応に関する質問が加わる。

■ 2022年のCDP気候変動質問書の主な変更点
■ 2022年のCDP気候変動質問書の主な変更点
■ CDP2023の統合質問書
■ CDP2023の統合質問書

 CDP Worldwide-Japanの榎堀都氏は、「各テーマは相互に関連しており、解決策がトレードオフになることもあれば、複数テーマを同時に解決することで効果が上がる場合もある」と統合する意図を話す。気候変動質問書に生物多様性を組み込んだのは、「生物多様性と気候変動の問題が切り離せないことから統合を先取りした」(榎堀氏)ためだ。

TNFDと整合性を持たせる

 生物多様性の質問は大きく6問。取締役会レベルでの監督、バリューチェーンにおける生物多様性への影響の評価、生物多様性のコミットメントの有無などを尋ねる。コミットメントには生物多様性の損失を実質ゼロにする「ノーネットロス」の誓約などを例示した。採点基準は22年3月に発表予定だが、初年度でもあり、生物多様性の回答は採点の対象外になる可能性もあるという。

 投資家は企業の自然への対応に関心を高めている。21年6月には、企業に自然への依存と影響に関する情報開示を求める「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」が発足。TNFDの開示の枠組みは23年に完成し、企業はそれに沿って「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標・目標」の柱で情報開示が求められる。TNFDに賛同するCDPも、質問書を整合させるとみられる。

 22年にCDPの回答対象となる日本企業はプライム上場の1841社に広がる。企業は自然関連の情報開示に対応し、株主や顧客、地域社会から支持を得ることが重要になる。